- どのくらい古いとヴィンテージワインと呼ぶのか
- ヴィンテージワインはなぜ高級品か
- ヴィンテージワインを飲むときの注意点
今回はヴィンテージワインについてです。
「ヴィンテージ」と聞くだけで古そうな印象がありますが、実はヴィンテージという言葉に「古い」という意味はありません。
ヴィンテージワインは非常にデリケートなので、取り扱いには注意が必要です。
記事の後半では、実際に買うとき&飲むときの注意点も解説していますので、是非参考にしてください。
古いワインには定期的にリコルクを行う必要があります。
リコルクについては下記リンクの記事で解説しているので、こちらも合わせてチェックしてください↓↓
・長期熟成ワインの品質管理に必要な「リコルク」を解説します の記事へ
ヴィンテージワインとは
「このワインはヴィンテージもの」
なんて聞くと、何年も熟成した古いワインを想像する人も多いでしょう。
しかし本来ワインにおけるヴィンテージとは、そのワインを造ったブドウの収穫年を意味します。
「2020年ヴィンテージのワイン」であれば、2020年産のブドウを使ったワインということですね。
長期熟成した古いワインの場合、正しくは「オールドヴィンテージワイン」と言います。
「どのくらいからオールドヴィンテージと呼ぶか」という定義はありませんが、15年~20年以上経ったものをオールドヴィンテージと呼ぶことが多いです。
ヴィンテージワインは必然的に高価になる
- もともとのワインの品質が非常に高い
- 年数が経つほど市場の本数が減る
- 熟成期間中の保管代金が積み重なる
長期間の熟成に耐えるには、ワイン自体の品質が高くなくてはなりません。
品質の高いワインはそもそもの生産本数が少ないため、元の売価の時点で高価です。
そこから長い年月を重ねると、飲む・破損・紛失などで市場本数はどんどん減っていきます。
倉庫などで熟成している場合には熟成期間の場所代なども加算されていき、年を重ねれば価格は必然的に上がっていくことになります。
飲み頃を迎えたヴィンテージワインはお酒の値段とは思えないほどに高級品。
発売されたての若い高品質ワインを購入して、自宅で熟成させる方が安く済むのでオススメです。
・【ワインの熟成】長期熟成向きワインの特徴と熟成時のポイント3点 の記事へ
ヴィンテージワインを購入するときの注意点
- それまでの取り扱いを確認する
- 特に個人所有のものは要注意
ヴィンテージワインはそれまでどのように扱われていたかが非常に重要です。
適切な温度や湿度を保たれ、振動も必要最低限に抑えられていればいい状態を保てているでしょう。
逆に、空調のない倉庫で長いこと置き去りにされていたり、輸送で激しく揺られたりした場合には、ボトルの中でワインは劣化し、品質が落ちてしまっている可能性が高いです。
しっかりとしたワインショップでは、そのワインがどのように扱われてきたものか明記されています。
直接お店に電話などで問い合わせてもいいかもしれません。
ネットオークション等で個人所有品を購入するときは、それまでの扱いを確認できるものを選ぶようにしてください。
ヴィンテージワインを飲む際の注意点
- 買ってきたら10日前後休ませる
- 開栓の際、キャップシールをすべて剥がしてコルクの状態を確認する
- コルクの状態によって適した道具で開栓する
- オリに注意して注ぎ、グラスをグルグル回さない
- いつも以上にゆっくりと楽しみましょう
ヴィンテージワインを飲むときに注意したいポイントを5つに分けて解説します。
買ってきたら10日前後休ませる
お店から家への持ち運びでワインに振動が加わったら、10日以上は静置させましょう。
長期熟成したワインは非常にデリケート。
ボトルの中で味わいのバランスが繊細に保たれており、これが移動の振動で崩れてしまいます。
また、熟成させたワインはボトルの中にはオリが溜まっていて、これが振動によって舞い上がってしまうことも理由になります。
10日程度ボトルを立てて保管し、舞い上がったオリをボトルの底に落ち着かせるようにしてください。
キャップシールをすべて剥がしてコルクの状態を確認する
デイリーワインではキャップシールを瓶口の部分だけ切り取るが普通です。
しかし長期間熟成しているワインは、コルクの状態が健全か確認しないといけません。
まずはコルクをボトルの外から確認するために、キャップシールを上から下まですべて剥がしてください。
キャップシールをはがす際にもワインに振動を与えないよう慎重に。
コルクの状態によって適正な抜栓方法を選ぶようにします。
コルクの状態によって適した道具で開栓する
ワインとともにコルクも長い時間を過ごしているため、劣化して崩れやすくなっていることがあります。
T字のオープナーは力が過度に力が入ってコルクが割れることが多いので、ソムリエナイフを使ってください。
スクリューを差し込む際にボトルをグルグルまわすようなことはせず、なるべく力をかけないようにゆっくりと差し込んでコルクを貫通させましょう。
貫通することでボトル内の気圧と外気圧が合わさり抜きやすくなります。
引き抜く際にもゆっくりと慎重に。
コルクにワインが染み込んで変色している場合にはソムリエナイフのスクリューも差し込めません。
2枚刃式のオープナーを使用しましょう。
【自宅で出来る】ワインのコルクが割れる原因と対処法を解説 の記事へ
オリに注意して注ぎ、グラスをグルグル回さない
ヴィンテージワインはワイングラスに注ぐときも慎重さが求められます。
ボトルの底にオリが溜まっているので、舞い上がらないように注意しましょう。
注ぎ終わったあとも、グラスに鼻を近づけてグルグルグルグル…とはしないでください。
しつこくなってしまいますがヴィンテージワインは非常に繊細で、開栓したばかりの時は味が閉じています。
グラスを回すことは無理やりワインを開かせて香りを嗅ぐ行為なので、ヴィンテージワインでは行わないのが基本。
グルグルした振動でワインの状態が崩れてしまいますので、グラスに注いだら味が開くまで少しだけ待ちましょう。
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いつも以上にゆっくりと楽しみましょう
一般的なワインは長くても数時間で味が開ききりますが、ヴィンテージワインは眠っていた期間が長い分起きるのにも時間がかかります。
長いもので2~3日かかるものもありますので、焦らずゆっくりと飲みましょう。
ワイン会などのイベントで飲む場合にはそんな悠長なことは言ってられないでしょうから、イベントの前日などに抜栓しておくこともオススメです。
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最後に
- 「ヴィンテージ」はブドウの収穫年のこと
- 古いワインは「オールドヴィンテージワイン」と呼ぶ
- ヴィンテージワインを買うときはそれまでの経緯が分かるものを選ぶ
- 振動に弱いので慎重に取り扱う
今回はオールドヴィンテージワインの取り扱いについて解説しました。
もし古いワインを買う&飲む機会があったら、この記事を思い出してください。
長い年月をかけて飲み頃を迎えたワインを、ほんの少しの間違いで崩してしまったらもったいないですよね。
ポテンシャルを最大限味わいためにも、慎重な取り扱いを心がけましょう。
熟成期間中の品質管理として、リコルクも検討してくださいね。
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