今回はソーヴィニヨンブランについて解説します。
Sauvignon BlancはSauvage=野生、Blanc=白を組み合わせた名前で、古くから土着していたブドウ品種であることから名づけられています。
造られるワインは柑橘系や香草類の香りとさわやかな酸味を持つのが特徴。
白ワインといえばまずシャルドネですが、ソーヴィニヨンブランはデイリーワインとして多く使われるため、普段飲む機会はシャルドネより多いかもしれません。
この記事ではソーヴィニヨンブランの特徴や産地による違い、相性のいい料理や、ソーヴィニヨンブランを使ったオススメワインも紹介しているので、ワイン選びの参考にしてください。
ソーヴィニヨンブランの特徴
- 柑橘系果実の華やかな香りと溌剌とした酸味
- 温暖な気候にも適応する
柑橘系果実の華やかな香りと溌剌とした酸味
ソーヴィニヨンブラン最大の特徴はハーブや柑橘系の華やかな香りです。
未熟なカベルネソーヴィニヨンなどの「ピーマン系の青っぽい香り」ではなく、草原やネギなどのさわやかな青さを感じます。
冷涼な地域で造ったものはシャープな酸味も感じられて食事と合わせやすく、特に夏場に好まれるワインになります。
辛口で造られることが多いですが、基本的に長期熟成はさせず、酸味や果実の香りを楽しめる早飲みタイプのワインになることが一般的。
酸化によって香り成分が薄まってしまうので、飲む時のスワリングはしないほうがいいでしょう。
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温暖な気候にも適応する
ソーヴィニヨンブランは世界各国で広く栽培されていますが、温暖な気候の地域で特に好まれています。
これは成熟が早いものの発芽が遅く、過剰な高温にさらされ続けない限りは栽培が可能なためです。
比較的温暖な気候を持つチリや南アフリカなどの「ニューワールド」では、シャルドネよりも多く栽培している国も珍しくありません。
温暖な気候ではグレープのような香りが際立ちますが、過剰に熟してしまうと香り成分が失われ酸味もぼやけてしまうため、冷涼な地域よりも早めに収穫されます。
ソーヴィニヨンブランの製法
- 低温発酵
- スキンコンタクト
早飲みタイプのソーヴィニヨンブランは、その香りを引き出すため、低温発酵とスキンコンタクトという技法が用いられることが多いです。
主にニューワールドで行われる低温発酵は、ワインのフルーティさを保ち、ポリフェノール成分の酸化防止効果(=発酵臭の抑制)、香り成分の生成促進効果を得られます。
スキンコンタクトは果汁と果皮を通常よりも長く接触させる技法で、果皮がもつ香りを多く引き出します。
ステンレスタンクでの熟成が一般的ですが、長期熟成を目的とした高価なワインの場合には、オーク樽を使った樽熟成を行うこともあります。
産地ごとのソーヴィニヨンブランワインのスタイル
- 冷涼な地域ではハーブ、レモン、青りんごなどの爽快な香りとシャープな酸
- 温暖な地域ではグレープフルーツやパッションフルーツなどのフルーティな香りと柔らかな飲み心地
産地の気候が冷涼か温暖かで、香りの種類と酸の感じ方に違いが出ます。
冷涼な地域では、未熟なソーヴィニヨンブランにみられるハーブ、レモン、青りんごなどの爽快な青い香りがあり、酸味もシャープな味わい。
温暖な地域になるとグレープフルーツや熟したパッションフルーツなどの香りと、それらの果物をかじったような果実味と酸味を感じることができます。
フランスのボルドー地方やロワール地方が有名ですが、近年はニュージーランドのソーヴィニヨンブランが非常に高評価です。
フランス
ロワール地方
フランスのソーヴィニヨンブランの産地としてもっとも有名なのがロワール地方です。
ロワール川の上流域では、サンセールやプイィ・フュメなど、ソーヴィニヨンブラン100%の有名ワインが生産されています。
土壌から来るたっぷりのミネラルと鋭い酸味、ソーヴィニヨンブランの香りをフワっと感じる上品な印象のワインが多いです。
ボルドー地方
ボルドー地方の白ワインにはセミヨンという品種が多く使われ、ソーヴィニヨンブランはブレンド用品種として活躍しています。
デイリーワインも多いですが、有名な格付けシャトーが造る白ワインも人気。
木樽を用いた長期熟成に耐えうる辛口タイプも生産されているほか、ソーテルヌ&バルラック地区の貴腐ワイン(極甘口ワイン)も世界的に有名です。
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ニュージーランド
近年、ニュージーランドはソーヴィニヨンブランの産地として世界的に高い評価を得ています。
国としてもソーヴィニヨンブランの栽培量が最も多く、特にマールボロ地区は品質が高いことで有名。
南国系のパッションフルーツや草原のようなソーヴィニヨンブランの香りをしっかりと感じられて分かりやすいので、品種の特徴をつかみたい初心者にもオススメです。
ソーヴィニヨンブランに合わせるオススメ料理
- レモンなどをアクセントにした料理
- ハーブを合わせたサラダや香草焼き
ソーヴィニヨンブランはレモンなどの柑橘系やハーブなどの香草類の香りがあるので、同じ香りを持つ料理とよく合います。
「鶏のから揚げにレモンかけるorかけない」論争はあるあるですが、ソーヴィニヨンブランと合わせるときにはレモンをかけてみてはいかがでしょうか?
ハーブ類を乗せたサラダや、お肉の香草焼きにもよくあいます。
香りの強いニュージーランドのソーヴィニヨンブランなら、ニラ餃子のような強い香りを持つ料理でも受け止められるでしょう。
基本的には、同質の香りを持つ料理と合わせればOK、と考えてください。
料理とワインのペアリングについては「【ワインと料理の組み合わせ方】初心者でもできる!上手なマリアージュの5つのコツ」で詳しく解説しています。
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ソーヴィニヨンブランの由来
フランス・ボルドー地方からロワール川流域原産
ソーヴィニヨンブランは、長いことフランス・ボルドー地域が原産と考えられていました。
しかし近年、サヴァニャンという品種の子孫である可能性が浮上し、サヴァニャンが栽培されるフランス北東部が原産という説が有力になってきました。
現在はフランス・ボルドー地方からロワール川上流域のどこか、というところまでしかわかっていません。
サヴァニャンの子であり、カベルネソーヴィニヨンの親
DNA解析によって、ソーヴィニヨンブランの片親はフランス北東部で栽培されるサヴァニャンであることがわかっています。
サヴァニャンはピノノワールの子供であること判っているので、ソーヴィニヨンブランはピノノワールの孫ということになりますね。
さらにソーヴィニヨンブランの子として有名なのは、カベルネフランとの間に生まれたカベルネソーヴィニヨンがあります。
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ソーヴィニヨンブランを使ったオススメワイン
晩酌に最適なデイリーワイン
記念日や贈り物にオススメなちょっといいワイン
こだわりの高級ワイン
最後に
- 柑橘系果実の華やかな香りと溌剌とした酸味
- 温暖な気候にも適応する
- 冷涼な地域ではハーブ、レモン、青りんごなどの爽快な香りとシャープな酸
- 温暖な地域ではグレープフルーツやパッションフルーツなどのフルーティな香りと柔らかな飲み心地
- レモンなどをアクセントにした料理やハーブを合わせたサラダや香草焼きなどとよく合う
- フランス・ボルドー地方からロワール川流域原産
- サヴァニャンの子であり、カベルネソーヴィニヨンの親
今回はソーヴィニヨンブランについて解説しました。
特徴的な香りを持つためブラインドテイスティングでもわかりやすく、試験に出題されたときには品種名までしっかり当てたい品種です。
レモン、ハーブ、香草などを使った料理と相性がいいので、ソーヴィニヨンブランを飲む時には意識してみてください。
さわやかな気分になるので、デイリーワインを夏場にゴクゴク飲むのもオススメです。
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