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【ワインからアミノ酸の旨味とパンの香り】甲州にも採用されるシュール・リー製法

今回はシュール・リー製法について解説します。

白ワインの醸造用語の一つですが、日本の甲州にもよく用いられるため、ワイン売り場で目にしたことがあるキーワードかもしれません。

通常の白ワインとは少し違った工程で造られるのが特徴で、ワインに独特の旨味と風味を与える効果があります。

シュール・リーで造ったワインの特徴も解説するので、飲む機会があったら少し意識してみてください。

シュール・リーとは?

  • 「滓の上」を意味する醸造用語
  • 発酵後に滓引きをせず熟成させる

「滓の上」を意味する醸造用語

Sur Lieシュールリーは、Surシュール(上に)とLieリー(滓)を合わせた「滓の上」を意味する白ワインの醸造用語です。

アルコール発酵後の白ワインを滓の上で熟成させるため、この名前がつきました。

2021年度ソムリエ教本までは、オリは「澱」の字で書かれていましたが、2022年度から「滓」の字に変更になりました。
この記事では「滓」に統一しています。

発酵後に滓引きをせず熟成させる

一般的に白ワインの醸造過程では、発酵後にすぐに滓を撤去します。

これは滓の持つ独特の香りがワインに移らないようにするため。

しかしシュール・リー製法ではあえてこの滓抜きを行わず、何か月間かワインと滓を一緒に熟成させます。

これによって滓から酵母由来の成分がワインに溶け出し、ワインに独特の風味を与えることができます。

Iseya
熟成期間などは国・地域によりますが、日本の法律では
「滓との接触期間は5ヶ月以上、仕込みの翌年の6月末までに瓶詰したもの」
と規定されています。

シュール・リーの効果

  • 滓由来の旨味成分をワインに引き出す
  • ワインの色味が淡くなる
  • 酵母由来のイーストのような香りが出る
  • フレッシュな味わいになる

滓由来の旨味成分をワインに引き出す

シュール・リー製法では、滓から酵母由来のアミノ酸多糖類が抽出されワインに溶け込みます。

味覚で感じる「旨味」はアミノ酸が由来なので、それが溶け込んだワインからは当然コクや旨味が感じられます。

Iseya
アミノ酸は日本酒にも含まれる旨味成分なので、なんとなく日本酒のような味わいも感じます。

ワインの色味が淡くなる

シュール・リー製法で造ったワインは、そうでないワインと比べて淡い色味になります。

これは滓からアミノ酸と一緒に抽出される多糖類がワインに含まれるポリフェノールを吸着し、ワイン中のポリフェノールが減少するため。

ポリフェノールには白ワインを褐色化させる効果があるので、それが減ることで淡い色合いになる、ということですね。

特に甲州は、もともとのブドウの色が淡いこともあって、ほぼ緑の色合いになります。

見比べると甲州の緑っぽさや淡さがよく分かりますね

フレッシュな味わいになる

ポリフェノールは渋み成分でもあります。

ポリフェノールが吸着されるシュール・リー製法のワインは、渋みのすくないフレッシュな味わいに仕上がります。

酵母由来のイーストのような香り

シュール・リー製法によってさまざまな香り成分もワインに溶け出しますが、中でもイースト香は特徴的です。

イースト香は酵母由来のもので、パン屋さんの匂いをイメージすればわかりやすいかなと思います。

シュール・リー特有の香りなので、コンクールのテイスティングコメントでシュール・リー製法を用いたワインと結論づけるには、このイースト香(パンドゥミーと表現します)についてコメントしないといけません。

最初は気づけないかもしれませんが、シュール・リー製法のワインの香りをかぐときには少し意識して探してみてください。

Iseya
ソムリエワインエキスパート二次試験の場合には、イースト香について触れずに結論付けても大丈夫です。

シュール・リー製法を用いる代表的なワイン

  • ミュスカデ(ロワール)
  • 甲州(日本)
  • シャンパーニュ

シュール・リーの代表的なワインには、シュール・リー製法の元祖であるフランス・ロワール地方のミュスカデと、日本の甲州があります。

どちらもブドウの個性があまり強くない品種なので、シュール・リーによって旨味や香りを加えているわけですね。

ロワールのミュスカデと甲州はシュールリー製法で造ることを個性として売り出していて、多くの場合ワインのラベルや商品説明欄に「Sur Lieシュールリー」と記載しています。

しかし法律上Sur Lieのラベル表示は義務ではないので、これら2品種以外はシュール・リー製法で造ってもラベルに表示しないことも多いです。

例えば高級ワインで有名なシャンパーニュも一般的にシュール・リーで造られますが、筆者はシャンパーニュのラベルにSur Lieと書いてあるのをみたことはありません。

最後に

  • 「滓の上」を意味する醸造用語で、発酵後に滓引きをせず熟成させる
  • アミノ酸由来の日本酒のような旨味と、酵母由来のイースト香を感じる
  • ロワールのミュスカデと日本の甲州でよく用いられる
  • 上記2品種以外はシュール・リーで造ってもラベル表示しないことが多い

今回はシュール・リーについて解説しました。

滓抜きせずに熟成させる白ワインの醸造方法で、フランス・ロワール地方のミュスカデと日本の甲州で特によく行われます。

アミノ酸由来の旨味イースト香など、独特の個性があるので興味がある方は意識して飲んでみてください。



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