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ソムリエワインエキスパート試験/赤ワインのテイスティングコメント

  • 濃淡・熟成の有無を判別する
  • 外観から香りと味わいのキーワードを選ぶ

ソムリエ&ワインエキスパート二次試験のテイスティング。

赤ワインのポイントは濃淡と、熟成の有無を判別することです。

その2点がわかれば、香りと味わいのキーワードがほとんどが決まります

外観の情報をしっかり判別できるようにしましょう。

今回は赤ワインの外観を主軸にして、香り・味わいのキーワードをどのように選ぶかを解説しています。

この記事はソムリエ&ワインエキスパートの二次試験に特化した内容です。
受験を控えている人は是非最後まで読んで、テイスティングトレーニングに役立ててください。
【無難が一番】二次試験対策に特化したテイスティング勉強法

記事の後半では学習に役立つ参考書と、テイスティング解説付きのワインセットも紹介しているので、うまく活用してください。

白ワインの二次試験向けテイスティングは下記リンクから確認できます。
テイスティングの基本的なことも解説しているので、こちらもチェックしてくださいね↓↓

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外観

  • 香りと味わい表現の元となる重要な要素
  • 明るい、濃い、とても濃い、熟成したワインの4種を判別
  • 粘性は特に重要

赤ワインの評価で特に重要なのが外観です。

なかでも粘性・色調・濃淡が香り・味わいの評価に直結します。

外観は確実に判別できるようにしましょう。

清澄度と輝きは固定がオススメ

  • 清澄度は「澄んだ」
  • 輝きは「輝きのある」
  • 色が濃い場合には「深みのある」でもいい

清澄度と輝きはワインの健全度を表します。

試験に出題されやすいワインには、不健全なワインが出る可能性は低いです。
そのためここでは、健全なワインであることを示す「澄んだ」「輝きのある」を選ぶようにしてください。

もし非常に濃いワインが出たときは、「深みのある」を選んでもOK。
しかし「深みのある」ワインに対しても、「澄んだ」「輝きのある」を選んで間違いになることは少ないです。
この辺りは当日ワインと向き合ったときの印象で決めましょう。

色調

  • 若いワインは紫の印象が強い
  • 熟成したワインはオレンジの印象が出る
  • 明るい順にルビー>ガーネット>ダークチェリーレッド

色調は産地や熟成感を判別する要素です。

冷涼な地域で造られた場合には「ルビー」、温暖な地域になると「ガーネット」の印象が強くなります。
そして若いワインは「紫の印象」が強く、熟成したワインは「オレンジの印象」が強くなることを覚えてください。

例えば冷涼な地域の若いワインでは

「紫がかった ルビー」

温暖な地域の熟成したワインは「オレンジがかった ガーネット」

という解答になります。

色調と品種を結びつける

おおまかであれば、色調と品種を結びつけることもできます。

ピノノワールに「ルビー」
メルロに「ガーネット」
オーストラリアのシラーズに「ダークチェリーレッド」

といった感じですね。

品種と結びつける場合には、産地によって若干違いが出るので注意しましょう。

例えばカベルネソーヴィニヨンでは、ヨーロッパ系では「ガーネット」、ニューワールドでは「ダークチェリーレッド」の色調になりやすいです。

色調で「冷涼or温暖」「若いor熟成」「大まかな品種」を判別できるので、品種・産地・収穫年を特定するときには参考にしてください。

濃淡

  • 「明るい」「濃い」「とても濃い」を判別
  • 香り・味わいの評価と紐づく重要項目

濃淡は「明るい」<「濃い」<「とても濃い」の3段階で判断します。

ここでの評価が香りで選ぶキーワードに結びつくので、判断は正確に。
もし明るいワインを「とても濃い」なんて表現してしまったら、大きな減点となってしまうでしょう。

トレーニングの際には色調もしっかり確認するようにしてくださいね。

例えば

ピノノワールやマスカットベーリーA:「明るい」
メルロやカベルネソーヴィニヨン:「濃い」
シラーや新世界のカベルネソーヴィニヨン:「とても濃い」

のようなイメージです。

粘性

  • アルコール・アタック・余韻と連動
  • グラスを傾けてグラスについた液体が伝う速度

粘性はアルコール度数・アタック・余韻と連動する重要な項目です。

グラスを一度傾けて縦に戻した際にグラスを伝う液体の様子で確認してください。

アルコール度数を目安にすると、13%が中程度になります。

もし本番で迷ったら、色調と連動させることも覚えておきましょう。
その場合は明るいワインなら「やや弱い」、濃いワインなら「やや強い」を選ぶようにしてください。

外観の印象

  • 基本は「成熟度が高い」「濃縮度がある」を選ぶ

赤ワインの外観の印象は、ほとんどの場合「成熟度が高い」「濃縮度がある」で正解になります。

色が明るいワインであれば「若々しい」と表現することもできます。
当日の印象で決めましょう。

一方でオレンジの色調がある場合は、「熟成感がある」などの熟成感が絡むキーワードを選んでもOK。

しかしその場合でも「成熟度が高い」「濃縮度がある」の表現は正解になることがほとんどです。

よほどオレンジが強い場合以外は「成熟度が高い」「濃縮度がある」を選ぶようにしたほうが安全です。

香り

  • 色調と連動させて選ぶ

赤ワインはいろいろな香りが混ざっていて、一つ一つ嗅ぎ分けるのは難しいです。

そのため試験では、外観の情報から香りのキーワードを結びつけて覚えることをオススメします。

香りの第一印象

  • 基本は「開いている」「強い」を選ぶ
  • 色が濃いワインには「濃縮感がある」でもOK
  • 「深みがある」には注意

試験に出題されやすい赤ワインの香りは「開いていて」「強い」ものがほとんどです。

色が濃いワインの場合には「濃縮感がある」でも大丈夫です。
逆に明るいワインは「華やかな」もOK。

このあたりは当日の選択肢の中にあるものを選んでくださいね。

「深みがある」は高級ワインに使う表現のため、試験に出題されやすいワインに選ぶことは少ないです

果実・花・植物の印象

  • 外観で評価した濃淡と連動させる
  • 花は主に「スミレ」か「牡丹」を濃淡で使い分ける

赤ワインの香り評価で、特に難しいのがこの項目ですね。

すべての香りを一つ一つ追うのではなく、濃淡と香りのキーワードを連動させてミスの少ない評価を狙いましょう

目安としては

「ブルーベリー」:ボルドーワイン、メルロー、サンジョベーゼ
「スミレ」:紫がかったワインなら間違いないキーワード
「カシス」「牡丹」:ボルドーワインよりも濃ければも入れてみる

このような具合です。

いちばん濃いグループの「ブラックベリー」や「ブラックチェリー」は、シラーズやニューワールドのカベルネソーヴィニヨンのような濃さのワインをイメージしてください。

「針葉樹」「腐葉土」「土」「干しプラム」は熟成が進んだ高級ワインに用いる表現です。
試験ではよほどのことがない限り選ぶことはありません。

香辛料・芳香・化学物質

  • 樽の表現とスパイスの表現を入れる
  • 樽:樹脂・ヴァニラ・ロースト
  • スパイス:丁子・シナモン・甘草

赤ワインは多かれ少なかれ樽熟成を行います
そのためこの項目では、樽の印象を表現することを忘れないようにしましょう。

それに加えてスパイスやミネラルの印象を織り交ぜて表現する形が基本形となります。

スパイスの印象は「丁子」「甘草」がいろいろなワインに使える表現で便利。
試験ではこの2つから選ぶのがオススメです。

ミネラルの表現をするのは、黒っぽくてとても濃い色調のワインのときだけ。
基本はスパイスと樽の印象でまとめるようにしましょう。

香りの印象

  • 基本は「若々しい」「第一アロマが強い」
  • 樽熟成の印象が強い場合は「若々しい」「木樽からのニュアンス」
  • 熟成感のあるワインは「熟成感が表れている」「木樽からのニュアンス」で表現

試験に出題されやすい赤ワインには、「若々しい」「第一アロマが強い」を選ぶのが基本です。

もし樽熟成の印象が強かったら、「第一アロマ」ではなく「木樽からのニュアンス」を選ぶようにしましょう。
樽香は第二~第三アロマとされるので、「第一アロマが強い」と表現してしまうと減点となってしまう可能性があります。

熟成感を示すオレンジ色の外観に「若々しい」と表現するのもNG。
この場合には、

「熟成感が表れている」
「木樽からのニュアンス」

で表現すると正解になりやすいです。

味わい

  • 外観・香りの評価と紐づける

味わいの各項目は、ここまで評価してきた外観と香りの評価に紐づけて選んでいきます

赤ワインの場合は、特に外観との連動が重要です。

アタック

  • 粘性と連動させる

アタックは粘性と連動します。

粘性が「やや強い」ならアタックも「やや強い」、粘性が「やや弱い」ならアタックも「やや弱い」を選んでください。

甘味

  • 基本は「ソフトな」「まろやかな」を選ぶ
  • ネッビオーロやリオハのワインには「ドライな」
  • アルコール度数が非常に高い、または甘味があるワインには「豊かな」

辛口赤ワインの甘味表現は、「ソフトな」「まろやかな」を選ぶのが基本です。

ネッビオーロやリオハのワインではドライになるのが特徴のため、判別できた場合には「ドライな」を選んでもOK。

粘性や甘味が強いワインの場合には「豊かな」で表現しますが、試験には出題されにくいです。
頭の片隅に置いておく程度にしておきましょう。

酸味

  • 基本は「滑らかな」「丸みのある」を選ぶ
  • ネッビオーロには「力強い」「しっかりとした」を選ぶ

赤ワインはマロラクティック発酵をするため、酸味は「滑らか」で「丸みのある」ものになります。
試験でも「滑らかな」「丸みのある」を選んでおけばほとんどのワインに当てはまるでしょう。

しかしネッビオーロはマロラクティック発酵をしてもなお、力強い酸味を持ちます。
ネッビオーロを判別できた場合には「力強い」「しっかりとした」といったキーワードを選びましょう。

ブルゴーニュのピノノワールやロワールのカベルネフランでも、豊かな酸味を持つことがあります。
もししっかりとした酸味(=すっぱさ)を感じたら、「力強い」「豊かな」「しっかりとした」などの表現をしてください。
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渋み

  • 明るいワインには「ち密な」
  • 濃いワインには「力強い」
  • かなり濃いワインには「収れん性のある」
  • 「シルキー」や「ヴィロード」は熟成感した高級ワインに用いる表現

赤ワインにとって重要な要素である渋みは、外観の濃淡と連動します。
明るいワインから順に、「ち密な」<「力強い」「収れん性のある」と表現してください。

「シルキー」「ヴィロード」は、一般的に高級ワインに用いる表現です。
試験に高級ワインが出題される可能性は非常に低いため、よほど自信がない限りこれらのキーワードは選ばないようにしましょう。

味わいのバランス

  • 明るいワインには「スマートな」「流れるような」
  • 濃いワインには「肉厚」「力強い」「豊満」
  • かなり濃いワインには「骨格のしっかりした」

味わいのバランスも濃淡と連動しています。

明るいワインから順に「スマートな」「流れるような」<「肉厚」「力強い」「豊満」<「骨格のしっかりした」と表現してください。

明るいか濃いかで、「スマートな・流れるような」or「肉厚・力強い・豊満」の二択にしてしまうのも試験の戦略としてはアリ。
逆に絶対に避けたいのは、濃いワインに対して「スマートな」であったり、明るいワインに対して「豊満」などと表現してしまうことです。

ボルドーワインやエルミタージュのシラーで「力強い」「肉厚」といった表現になります。
「骨格のしっかりした」を選ぶのはよほど色の濃いワインになりますね。

濃淡ごとに適した表現をしっかり覚えておくようにしましょう。

アルコール

  • 粘性と連動させる

アルコール度数は必ず粘性と連動させてください。

粘性が「やや強い」ならアタックも「やや強い」、粘性が「やや弱い」ならアタックも「やや弱い」で表現します。

訓練の際にもアルコール度数と粘性を見比べる癖をつけておきましょう。

余韻

  • 基本は粘性に連動させる
  • ピノノワールは余韻が長くなりやすい品種
  • マスカットベーリーAは余韻が短くなりやすい品種

余韻はわかりづらい項目ですが、粘性と連動することが多いです。
わからなければ粘性と同じ表現を選びましょう

ピノノワールは余韻が長く、マスカットベーリーAは余韻が短くなる傾向にあります。
どちらも明るい色調のワインですが、判別できた場合には適した表現が出来ると確実です。

総合評価

  • 基本は「成熟度が高く、豊か」
  • とても濃いワインやアルコール度数が高い場合には「濃縮し力強い」
  • 「シンプル、フレッシュ感を楽しむ」は白ワイン向けの表現なので注意

出題されやすい赤ワインでは「成熟度が高く、豊か」で表現できるワインが大半です。

よほど色が濃かったり、アルコール度数が高い場合には「凝縮し力強い」を選ぶこともありますが、「成熟度が高く、豊か」でも間違いにはなりません。

解答を「成熟度が高く、豊か」に固定するほうが安全ですね。

適正温度

  • 明るいワインは「14-16度」
  • 濃いワインは「17-20度」

赤ワインの適正温度は明るい(=軽い)ワインか濃い(=重い)ワインかで異なります。

明るいワインは16度、重いワインは18度として、それらの温度が含まれる選択肢を選びましょう。

グラス&デカンタージュ

  • グラスは「中ぶりな」を選ぶ
  • デカンタージュは「必要ない」

試験に出やすいワインは

グラス:「中ぶり」
デカンタージュ:「必要ない」

でOKです。

悩まずこれらの選択肢を選ぶようにしましょう。

結論

  • 収穫年・生産国・品種はわからなくても気にしない

収穫年・生産国・品種を的中させるのは不可能です。
現代の醸造技術や温暖化により、たくさんの地域で様々なワインが生産されているためですね。

色調から生産国や品種がある程度絞れればラッキーくらいの気持ちで大丈夫。

外観を見ても全く見当がつかなければ、生産国はフランスを選ぶようにしてください。

詳しく勉強したい人におすすめの本

今回紹介したような、「試験対策に特化したテイスティングコメント」について詳しく解説している本があるので紹介しておきます。

「富田葉子のテイスティング 虎の巻 2021-2022年版: J.S.A.ソムリエ・ワインエキスパート 二次試験対策」では、国内最大手ワインスクール・アカデミーデュヴァンの講師も務める富田葉子先生が、試験に特化したテイスティングコメントの選び方を解説してくれています。

本記事で解説したような内容を、試験に出題される主要品種をすべて網羅

試験本番の環境や、当日試験に臨む際のコツまで解説してあって、まさにスクールに通って習うようなことを知ることができます。

試験対策の強い味方になると思うので、ぜひ一読してみてください。


実際にテイスティングしてみよう

テイスティングコメントの選び方がなんとなくわかったら、実際にワインを飲んでみましょう。

オススメは国内最大手ワインスクールのアカデミーデュヴァンが販売している、テイスティング試験対策に特化したワインセット。

ブラインド試験で出題されやすいワインだけでなく、それぞれに解説動画がついているので試験勉強にバッチリです。

独学での受験を考えている人には特にありがたいですね。

今回は赤ワインのセットを紹介するので、ぜひ活用してください。

【大塚美咲先生・解説動画付き】目指せ!ブラインドテイスティングマスター Lesson2 赤ワイン基本品種の特徴を掴む編3本セット

【大塚美咲先生・解説動画付き】目指せ!ブラインドテイスティングマスターLesson5赤ワイン3本セット第2弾 ネッビオーロ、カベルネ・フラン、ジンファンデル編

最後の仕上げに中身不明のブラインド専用ワインセットも!

赤・白ともにテイスティングの基本がわかったら、今度はブラインドで挑戦してみましょう。

こちらは完全に中身が見えない状態で届くので、実践さながらの緊張感が味わえます。

ちゃんと解説動画もついているので答え合わせもできますよ!

最後に

  • 外観が香りと味わいのキーワードに紐づく
  • ネッビオーロに注意

赤ワインは外観を判別して、あとは連動キーワードを選ぶのが安全です。

例外のネッビオーロに注意しつつ、外観ごとにそれぞれのキーワードをしっかり覚えるようにしてください。

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