今回はカベルネソーヴィニヨンの特徴を解説します。
カベルネソーヴィニヨンはワインに使われるブドウとしてもっとも有名な品種のひとつです。
フルボディなワインに仕上がり、牛肉ステーキとの相性は有名ですね。
世界中で広く栽培され、デイリーワインから超高級ワインまで幅広く活躍しています。
この記事ではカベルネソーヴィニヨンの生い立ちや、組み合わせる料理、産地ごとの微妙な違いも解説しているので、ワイン選びの参考にしてください。
↑重厚なカベルネソーヴィニヨンには味の濃厚な料理がオススメです!
カベルネソーヴィニヨンの特徴
- 世界で最も多く栽培されるワイン用ブドウのひとつ
- 飲みごたえのあるフルボディワインになる
世界で最も多く栽培されるワイン用ブドウのひとつ
カベルネソーヴィニヨンは世界で最も有名なワイン用ブドウです。
ワイン産業で特に重要な品種で、栽培面積は世界最大(年度による)。
お店のワインコーナーを覗いたことがある人なら、一度は見たことがあるという人も多いはず。
晩熟で、しっかり成熟させるために温暖な気候で主に栽培され、さらに水はけのよい砂礫質の土壌と相性がいいと言われています。
飲みごたえのあるフルボディワインになる
カベルネソーヴィニヨンから造るワインは、タンニンが豊富なフルボディワインに仕上がります。
「赤ワインの味ってこういう感じ」と想像したときに、まず思い浮かぶ味がカベルネソーヴィニヨンなことも多いです。
色調は濃く、飲むと唇や口の中が紫色になるのも日常茶飯事。
特に凝縮したカベルネソーヴィニヨンから造られたワインは、何十年も熟成させる高級ワインになります。
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食べるのには不向き
一部を除いて、ワインの原料に使われるブドウは、そのまま食べるのには不向きです。
中でもカベルネソーヴィニヨンは粒が小さく、分厚い皮を持っています。
実のほとんどが皮で食べるところがないくらいですが、この分厚い皮が豊富なタンニンの元となってワインに現れます。
産地ごとのカベルネソーヴィニヨンワインのスタイル
カベルネソーヴィニヨンは世界で広く栽培されますが、気候によって生まれるワインの特徴に若干違いがあります。
特に香りは産地の気温によって、
- 冷涼な気候:ピーマンやアスパラガスの香り、黒スグリの香り
- 中程度の気温:ミントやブラックペッパー、鉛筆の芯の香り
- 温暖な気候:ジャムの香り、ブラックチェリーや黒オリーブの香り
と特徴が分かれます。
このうち冷涼な気候でよく見られるピーマンの香りは、ピーマンやキュウリなどにも含まれる
ピラジンは未熟なカベルネソーヴィニヨンに多く含まれていて、成熟するにつれて少なくなっていきます。
冷涼な地域ではブドウが成熟しきらない(=ピラジンが多い)ことがあり、それがピーマン香として現れるわけですね。
産地によってはピーマン香をデメリットとしてとらえていて、ピラジンがなくなるまでしっかりと成熟させたブドウを使うことに拘るところもあります。
ボルドー地方(フランス)
- 酸が多め
- カベルネソーヴィニヨンの中では比較的細身で上品
- 他品種とブレンドされる
- ピーマンなどの青っぽい香りが出ることもある
カベルネソーヴィニヨンはフランスのボルドー地方が原産のブドウと言われています。
ボルドー地方は、カベルネソーヴィニヨンの主要産地の中では比較的冷涼で、天候は不安定。
そのため天候によってはブドウが成熟せず、ピーマンの香りが出ることもありますが、それも産地の特徴として尊重する傾向にあります。
カベルネソーヴィニヨン単一でワインを造ることはせず、メルロー、カベルネフラン、プティヴェルドなどとブレンドするのが一般的(=ボルドーブレンド)。
冷涼なので、カベルネソーヴィニヨンの中では細身で上品な味に仕上がります。
シャトーマルゴーなど、世界でもトップクラスに有名なブランドワインを多く輩出する地域です。
カリフォルニア(アメリカ)やオーストラリア
- 果実味が豊富
- 黒い果実の印象
- 樽の香りが強いものが多い
アメリカのカリフォルニア州やオーストラリアではブドウがよく成熟します。
そのため酸は控えめで代わりに果実味が強く、ピーマン香も基本的にありません。
熟成時に樽をよく利かせて造ることも特徴で、木の香りや樽由来のバニラのような甘さをしっかりと感じることができます。
強くハッキリした味わいなので初心者にもオススメですが、近年は有名フランスワインに匹敵するほどの高級ブランドワインも造られています。
カリフォルニア州ではナパヴァレー、オーストラリアではクナワラという地域が特に高品質なカベルネソーヴィニヨンの産地として有名です。
チリ
- カベルネソーヴィニヨンはチリを代表する品種
- 手ごろで飲みやすいタイプが多い
チリはブドウ栽培において非常に優れた気候を持つ国で、ブドウがよく成熟します。
特にカベルネソーヴィニヨンは「チリカベ」とも呼ばれる代表品種。
アメリカやオーストラリアと似たスタイルですが、酸やタンニンが柔らかいワインに仕上がりやすいのでデイリーな早飲みタイプが多いです。
完熟したブドウからくる果実味が豊富で初心者でも飲みやすく、原料ブドウの価格や関税の関係でワインの値段が安いので、日本のスーパーやコンビニでも多く取り扱われています。
カベルネソーヴィニヨンに合わせるオススメ料理
- 牛肉や羊肉などを焼いた料理
- 脂身が多く、スパイスで味付けした料理
カベルネソーヴィニヨンの強いタンニンの渋みは、脂質やたんぱく質によって軽減されます。
脂身の少ない赤身でも合わせられますが、脂身が多い牛ステーキなどとカベルネソーヴィニヨンワインの相性は特に有名ですね。
黒コショウのようなスパイスもタンニンを和らげる効果があるため、肉の味付けにはスパイスがオススメ。
ボルドーのような比較的細身のタイプにはキノコとの相性もよく、ピラジンの青っぽい香りがある場合には野菜料理もいいです。
樽をしっかり利かせてハッキリした味わいのカリフォルニアやオーストラリアのワインには、料理も濃厚な味のものを合わせるようにしましょう。
チーズと合わせる場合には、「チェダー」「モッツァレラ」「ブリー」との組み合わせがオススメです。
料理とワインのペアリングについては「【ワインと料理の組み合わせ方】初心者でもできる!上手なマリアージュの5つのコツ」で詳しく解説しています。
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カベルネソーヴィニヨンの由来
- カベルネフラン×ソーヴィニヨンブランの自然交配品種
- カベルネソーヴィニヨンを交配した品種もある
カベルネフラン×ソーヴィニヨンブランの自然交配品種
カベルネソーヴィニヨンはカベルネフランとソーヴィニヨンブランの自然交配で生まれたと言われています。
今でこそ世界中で有名ですが、17世紀にフランス南西部で誕生した比較的新しい品種です。
近年までは古代から伝わる品種とされていましたが、1996年にカリフォルニア大学の研究チームがDNA解析を行って誕生の経緯を判明させました。
カベルネフランからは黒スグリや鉛筆の香り、ピラジンを含むことを、ソーヴィニヨンブランからは草の香りを受け継いでいます。
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カベルネソーヴィニヨンを交配した品種もある
カベルネソーヴィニヨンと他品種を交配させた品種も存在しています。
- カベルネソーヴィニヨン×カリニャン=ルビーカベルネ
- カベルネソーヴィニヨン×グルナッシュ=マルスラン
カベルネソーヴィニヨンを使ったオススメワイン
晩酌に最適なデイリーワイン
記念日や贈り物にオススメなちょっといいワイン
こだわりの長期熟成ワイン
カベルネソーヴィニヨンが好きな人にオススメなブドウ品種
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最後に
- 世界で最も多く栽培されるワイン用ブドウのひとつ
- 飲みごたえのあるフルボディワインになる
- 産地の気候により香りの特徴が異なる
- 牛肉や羊肉などを焼いた料理や脂身が多く、スパイスで味付けした料理と相性がいい
- チーズと合わせる場合には、「チェダー」「モッツァレラ」「ブリー」がオススメ
- カベルネフラン×ソーヴィニヨンブランの自然交配品種
- カベルネソーヴィニヨンを交配した品種もある
カベルネソーヴィニヨンは赤ワイン用のブドウとしてもっとも有名な代表品種です。
タンニンがしっかりしたフルボディに仕上がり、脂身の多いステーキなどとの組み合わせがオススメ。
産地によって微妙に特徴が異なるので、飲み比べてみて好みを探ってみてください。
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