- チーズは奥が深いが、今は基本的な部分だけを覚える
- チーズとは?ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いを知る
- タイプごとの代表的チーズを紐づける
ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズ。
今回はチーズです。
「ワインにはチーズでしょ!」というイメージを持つ人も多いでしょう。
ワインの相方として広く知られるチーズは、ソムリエ教本でも単独の項目が設けられています。
メソポタミア文明で誕生したとされる歴史ある食材で、現在はアメリカが生産量世界一位。
試験勉強では、
「チーズとはなんなのか」
「どのようなタイプがあるのか」
「それぞれのタイプにはどんなチーズがあるのか」
という基本的な部分を覚えるだけで十分です。
暗記の量は多いので、学習カロリーは高め。
日常のワインライフにも生かしやすいので、是非マスターしましょう。
全ての記事にランダムで出題される練習問題がついているので試験学習にうってつけ。
独学・スクール通学を問わず、ソムリエ&ワインエキスパート試験合格を目指す人全員に役立てるようになっています。
詳しくは下記リンクの記事をチェックしてくださいね。
ソムリエ・ワインエキスパート試験はワインの難関試験です。 勉強も大変そうだし、何から手をつけたらいいのかもわからないですよね。 筆者は年末頃から少しずつ勉強をスタートして、年明けからはオンラインスクールも利用しながら一発で合格す[…]
チーズとは
- 食品衛生法によって定められる
- 乳を原料とし凝固後にホエイを取り除く、または熟成させたもの
- プロセスチーズの原料はナチュラルチーズ
まず「チーズ」とは何か?を知りましょう。
食品衛生法によると、「乳を原料として乳酸菌や凝乳酵素によって凝固させ、乳清(ホエイ)を取り除いたもの、またはそれらを熟成させたもの」となっています。
つまり乳以外が原料のものは発酵させてもチーズと呼ぶことはできないわけですね。
乳以外の原料が一定量を超えると「乳または乳製品を主原料とする食品」や「チーズフード」と呼ばれることになります。
チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の二つに分類され、ナチュラルチーズはさらに細かく9つのタイプに分かれます。
まずはナチュラルチーズとプロセスチーズの違いを把握しましょう。
簡単に言えばヨーグルトの上澄みの水分のこと。
筋トレ後などに飲む「ホエイプロテイン」は、このホエイのみを抽出して粉末化したものです。
ナチュラルチーズ
- 原料を凝固させホエイを除去したもの
- さらにいくつかのタイプに分けられる
プロセスチーズ
- ナチュラルチーズを原料とし、加熱溶解し乳化させたもの
プロセスチーズの原料はナチュラルチーズです。
地味ですが大事なポイント!
ナチュラルチーズの分類
- 9つのタイプに分かれる
- Fromageはフランス語でチーズの意味
- タイプ名のフランス語を紐づけておく
ナチュラルチーズは9つのタイプに分かれています。
それぞれフランス語(パスタフィラータのみイタリア語)でのカテゴリー名も覚えてください。
「Fromage○○」は「○○チーズ」という意味なので、〇〇の部分を覚えるだけでOKです。
ナチュラルチーズ分類 | 備考 |
Fromage Frais フレッシュタイプ |
Frais=フレッシュ 乳を固めてホエイを排出しただけの熟成させていないタイプのチーズ 製菓や料理に使われることが多い |
Fromage a pate molle ソフトタイプ |
中身が柔らかいチーズ 表面を自然な表皮を形成させたタイプがある 後述の白カビ・ウォッシュ・シェーブルはこのタイプになる |
Fromage a pate molle a croute fleurie 白カビタイプ |
Fleurie=表皮の白カビが花のように見えることから 中身が軟らかく、表皮に白カビがついたソフトタイプ カマンベールが有名 フランスでは白カビタイプ以外に酵母による自然な表皮のソフトチーズもこの分類に入る |
Fromage a pate molle a croute lavee ウォッシュタイプ |
Lavee=洗った 最も香りや癖の強いタイプのチーズ 型からだして加塩したあと表皮を塩水やブランデーで洗ったソフトタイプ リネンス菌によりオレンジ色のねばねばした表皮を形成する |
Fromage de chevre シェーブルタイプ |
chevre=ヤギ 山羊乳原料のソフトタイプチーズ カロテンという成分がないため真っ白い生地が特徴 ロワールが有名でボルドー以外のワイン産地で広く造られる 赤よりは白のほうが相性がいいことが多い 出題が多い傾向にある |
Fromage a pate persillee 青カビタイプ |
Perisille=パセリの意味で青かびがパセリのように見えることから 塩分が強いため甘口ワインとの相性がいいとされる 生地段階で青カビ菌を混ぜて熟成中に内部に青カビを繁殖させて造る 代表的なカビ菌はペニシリウムロックフォルティ |
Fromage a pate pressee non cuite 非加熱圧搾タイプ(セミハードタイプ) |
Non cuite=非加熱の意味 圧搾タイプとはプレスして造ったチーズのカテゴリー 製造時、温度を40度以上にせずに製造するチーズ |
Fromage a pate pressee cuite 加熱圧搾タイプ(ハードタイプ) |
製造時、温度を40度以上に仕上げて水分放出を促し、より引き締まった生地になる 長期熟成に向く |
Pasta filata パスタフィラータ |
発酵後に細かく裁断し、お湯をかけて練って引き延ばして作る モッツァレラ・カチョカヴァッロ・プロヴォローネなど |
チーズに関する法律
- 1952年ストレーザ協定制定
- ワインと同様に各国A.O.C.やD.O.C.、EUのP.D.O.など産地呼称制度がある
チーズに関する法律として、ストレーザ協定は覚えておきましょう。
主要チーズ生産国8か国(フランス・イタリア・スイス・オーストリア・オランダ・デンマーク・スウェーデン・ノルウェー)によって1952年に制定されました。
簡単に言えば、「チーズに原産地呼称を与える」ための協定です。
「ストレーザ協定」「主要8か国」あたりのキーワードは試験に頻出事項。
フランスにはチーズ46種のA.O.C.、イタリアには55種のD.O.C.があることもポイントです。
この偽物チーズを取り締まるため、主要チーズ生産国が手を取り合って制定されたのがストレーザ協定です。
これによりチーズに原産地呼称が与えられ、偽物には罰則を設けることができるようになりました。
各地のチーズ
- チーズ名・産地・タイプを紐づける
- チーズ学習の大半は本項
- マリアージュの基本として同じ産地のチーズとワインを合わせる
- 青カビタイプは産地を合わせるより甘口ワインとの相性を優先
- 基本的に原料は牛乳でシェーブルのみ山羊
- 一部羊乳や水牛乳を使ったものは要注意
ここからがチーズ学習の本番です。
各地のチーズを頑張って覚えましょう。
教本にはもっと多くのチーズが載っていますが、今回は重要度の高いフランスとイタリアを中心にピックアップしています。
産地やタイプを紐づけることを忘れずに。
その場合は基本的にチーズと同じ産地のワインを選べばOK
ただし青カビタイプは塩分が強いため甘口ワインとの相性が優先されます。
シェーブル(山羊乳)や、羊乳、水牛乳を使ったものだけ+αでチェックしましょう。
フランスのチーズ
- フランスには1つの村に1つのチーズがあると言われる
- ロワール地方はイスラム教徒との戦争がきっかけでシェーブルの名産地になった
ノルマンディ地方
ノルマンディ地方はロワール地方のペイナンテから北に行ったあたりのエリアです。
気温の関係からブドウは栽培されておらず、代わりに乳製品産業が盛んな地域。
ノルマンディ地方のチーズと相性のいいワインを選ぶときは、ブルゴーニュ、メドック、シャンパーニュなどの高級ワインを選ぶようにしましょう。
ノルマンディ地方 | 備考 |
Camembert de Normandie カマンベールドノルマンディ |
タイプ:白カビ |
Neufchatel ヌーシャテル |
タイプ:白カビ |
Pont-l’Eveque ポンレヴェック |
タイプ:ウォッシュ |
Livarot リヴァロ |
タイプ:ウォッシュ |
イル・ド・フランス地方
パリ周辺に該当するイル・ド・フランス地方は、古くから酪農が盛んです。
こちらもノルマンディ地方と同様、チーズとワインの相性を問われた場合はブルゴーニュ、メドック、シャンパーニュなどの高級ワインを選ぶようにします。
イルドフランス地方 | 備考 |
Brie de Meaux ブリドモー |
タイプ:白カビ |
Brie de Melun ブリドムラン |
タイプ:白カビ |
ロワール地方
南仏と並びシェーブルチーズの名産地です。
8世紀初頭、「トゥールポワチエ間の戦い」に敗戦したイスラム教徒が山羊を置き去りにしていったことがきっかけで、ロワール地方のシェーブルチーズが発展したといわれます。
この歴史部分も要チェック。
ロワール地方 | 備考 |
Sainte-Maure de Touraine サントモールドトゥーレーヌ |
タイプ:シェーブル |
Valencay ヴァランセ |
タイプ:シェーブル |
Pouligny-Saint-Pierre ピュリニーサンピエール |
タイプ:シェーブル |
Crottin de Chavignol クロタンドシャヴィニョル |
タイプ:シェーブル |
アルザス&ロレーヌ地方
アルザス&ロレーヌ地方 | 備考 |
Munster-Gerome マンステールジェロメ |
タイプ:ウォッシュ |
シャンパーニュ地方
シャンパーニュ地方 | 備考 |
Chaource シャウルス |
タイプ:白カビ |
Langres ラングル |
タイプ:ウォッシュ |
ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ地方 | 備考 |
Epoisses エポワス |
タイプ:ウォッシュ |
Charolais シャロレ |
タイプ:シェーブル |
コンテ地方(ジュラ地方)
コンテ地方 | 備考 |
Comte コンテ |
タイプ:加熱圧搾 |
Mont d’Or モンドール |
タイプ:ウォッシュ |
コートデュローヌ地方
コートデュローヌ地方 | 備考 |
Rigotte de Condrieu リゴットドコンドリュー |
タイプ:シェーブル |
Picodon ピコドン |
タイプ:シェーブル |
プロヴァンス地方
プロヴァンス地方 | 備考 |
Banon バノン |
タイプ:シェーブル |
サヴォワ地方
サヴォワ地方 | 備考 |
Reblochon ルブロション |
タイプ:非加熱圧搾 |
Beaufort ボーフォール |
タイプ:加熱圧搾 |
オーヴェルニュ地方
フランス中南部の中央山塊のエリアで、ミネラルウォーターのヴォルヴィックの採水場もこの地方にあります。
ローヌ、ブルゴーニュ、ラングドックと接するため、マリアージュでもそのあたりのワインを選びましょう。
オーヴェルニュ地方 | 備考 |
Bleu d’Auvergne ブルードーヴェルニュ |
タイプ:青カビ |
Fourme d’Ambert フルムダンベール |
タイプ:青カビ |
Cantal カンタル |
タイプ:非加熱圧搾 |
Saint-Nectaire サンネクテール |
タイプ:非加熱圧搾 |
オクシタニー地方(南西地方)
オクシタニー地方 | 備考 |
Roquefort ロックフォール |
タイプ:青カビ 原料:羊乳 |
Bleu des Causses ブルーデコース |
タイプ:青カビ |
バスク地方
バスク地方はスペインとフランスの国境であるピレネー山脈の両麓に位置し、スペインにもまたがっています。
チーズとの相性は南西地方のワインを選ぶようにしましょう。
バスク地方 | 備考 |
Ossau-Iraty オッソーイラティ |
タイプ:非加熱圧搾 原料:羊乳 |
イタリアのチーズ
- 北部は牛乳製チーズが多い
- 中~南部は羊乳製の「ペコリーノ」の生産に向いている
- カンパーニア州周辺では水牛から「モッツァレラ」が造られる
- 加熱でも非加熱でもない、半加熱圧搾チーズに注意
- 発酵後、お湯をかけて練って引き延ばす「パスタフィラータ」製法
ヴァッレダオスタ州
ヴァッレダオスタ州 | 備考 |
Fontina フォンティーナ |
タイプ:半加熱圧搾 |
ピエモンテ州
ピエモンテ州 | 備考 |
Castelmagno カステルマーニョ |
タイプ:非加熱圧搾 |
Bra ブラ |
タイプ:非加熱圧搾 |
Raschera ラスケーラ |
タイプ:非加熱圧搾 |
ロンバルディア州
ロンバルディア州 | 備考 |
Gorgonzola ゴルゴンゾーラ |
タイプ:青カビ ピエモンテ州でも造られる |
Taleggio タレッジョ |
タイプ:ウォッシュ |
ヴェネト州
ヴェネト州 | 備考 |
Asiago アジアーゴ |
タイプ:半加熱圧搾 |
北部ポー川一帯の広域
イタリア北部各州の指定地域を指します。
チーズごとに細かく指定生産地は異なりますが、現時点ではイタリア北部のチーズという認識でOKです。
北部ポー川一帯の広域 | 備考 |
Grana Padano グラナパダーノ |
タイプ:加熱圧搾 |
Provolone Valpadana プロヴォローネヴァルパダーナ |
タイプ:パスタフィラータ |
エミリア・ロマーニャ州
エミリアロマーニャ州 | 備考 |
Parmigiano Reggiano パルミジャーノレッジャーノ |
タイプ:加熱圧搾 |
トスカーナ州
トスカーナ州 | 備考 |
Pecorino Toscano ペコリーノトスカーノ |
タイプ:非加熱圧搾 |
ラツィオ州
ラツィオ州 | 備考 |
Pecorino Romano ペコリーノロマーノ |
タイプ:加熱圧搾 |
カンパーニア州
カンパーニア州 | 備考 |
Mozzarella di Bufala Campana モッツァレッラディブーファラカンパーナ |
タイプ:パスタフィラータ 原料:水牛乳 |
中~南部5州
モリーゼ州、カンパーニア州、プーリア州、バジリカータ州、カラブリア州を指すイタリア中南部の広域なエリアです。
中~南部5州 | 備考 |
Caciocavallo Silano カチョカヴァッロシラーノ |
タイプ:パスタフィラータ |
スペインのチーズ
- 羊乳原料のものが多い
- ケソマンチェゴとカラブレスだけ覚える
スペインのチーズ | 備考 |
Queso Manchego ケソマンチェゴ |
産地:ラマンチャ地方 タイプ:非加熱圧搾 |
Cabrales カブラレス |
タイプ:青カビ 原料:混乳 |
英国のチーズ
- スティルトンだけ押さえておく
英国のチーズ | 備考 |
Blue Stilton Cheese ブルースティルトンチーズ |
タイプ:青カビ |
チーズ練習問題
本記事で解説したチーズについての練習問題を作成しました。
学習量が膨大なため、フランスのみ、イタリアのみ、本記事すべてのチーズと3段階になっています。
学習進捗に合わせて活用してください。
フランスチーズ
イタリアチーズ
全チーズ+総論
最後に
- ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いを知る
- 「ストレーザ協定」「主要8か国」
- さまざまなタイプやタイプごとの代表的チーズを紐づける
チーズは基本的なことを覚えるだけでも種類が多く、結構大変ですね。
チーズのタイプ・原料を問われる以外にも、マリアージュ関係や論述問題(ソムリエのみ)でも出題される可能性があります。
しかし重要度は並~低くらい。
ある程度期間を決めて、「覚えられるところまで覚える」くらいにしておきましょう。
ソムリエワインエキスパート試験の勉強法はこちら↓
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