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日本酒/ソムリエワインエキスパート試験対策&練習問題

  • 総論と製造工程を押さえる
  • ページ数のわりに出題頻度は高い
  • それぞれのキーワードと意味を紐づける

ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズ。

今回は日本酒です。

ソムリエ&ワインエキスパート試験では、日本酒も出題対象。
勉強内容は総論部分と製造工程が中心になります。

意外と細かいキーワードまで出題されるので、しっかり覚えていきましょう。

今回はそんな日本酒の重要ポイントをまとめて、最後に練習問題を載せています。
キーワード覚えるだけで得点源になるので、練習問題を活用して是非マスターしてください。

ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズは、筆者が一次試験合格までに学習した内容を項目別にまとめたものです。
全ての記事にランダムで出題される練習問題がついているので試験学習にうってつけ。
独学・スクール通学を問わず、ソムリエ&ワインエキスパート試験合格を目指す人全員に役立てるようになっています
詳しくは下記リンクの記事をチェックしてくださいね。
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酒税法における日本酒(清酒)の定義

テキスト

  1. 米・米麹・水を原料にして発酵させ漉したもの
  2. 米・米麹・水及び清酒粕その他「政令で定める物品」を加えて漉したもの
  3. 清酒に清酒粕を加えて漉したもの

※全てアルコール度数22度未満

日本酒は、酒税法で「清酒」という言葉で扱われます。

ポイントは原料が米以外のものは清酒と呼べないことと、かならず漉す必要があることです。
このため、製造過程で一切漉さない「どぶろく」は清酒に含まれないことは覚えておきましょう。

日本酒の特性

  • 飲用温度が広い
  • 季節ごとの味わいに特色がある
  • 「秋上り」「秋晴れ」:熟成の結果ひやおろしの品質が上がること
  • 「秋落ち」:熟成の結果ひやおろしの品質が下がること

日本酒はワインと異なり、飲用温度の幅(6~60度)が非常に広いお酒です。

冷酒・常温・燗酒すべてに対応できるお酒はなかなかありませんね。

初冬から新春の「新酒」
梅雨時の「活性清酒」
夏の「冷酒」
秋の「ひやおろし」
冬の「熱燗」

このように季節ごとに特色があるのも日本酒ならではのものでしょう。

試験対策で特に重要なのは「ひやおろし」
新酒を収穫翌年の夏を超すまで火入れをせずに熟成させた秋の日本酒のことを指します。

ひやおろしの熟成が上手くいって品質が上がることを「秋上り」「秋晴れ」、逆に熟成に失敗して品質が落ちることを「秋落ち」と言います。
これらのキーワードはしっかり把握しましょう。

日本酒の原料

  • 日本酒に使われるのは「酒造好適米」
  • それぞれの品種の産地や基本情報を紐づける

日本酒にはコシヒカリなどの食用米ではなく、日本酒醸造に向いた米を使います。
ワインの原料に生食用とは違うブドウ品種を使うのと同じですね。

日本酒醸造に向いた米を「酒造好適米」と言い、食用に比べて粒が大きくタンパク質の含有量が少ないことが特徴です。
ここでは代表的な4つの品種を産地・基本情報と紐づけておきましょう。

酒造好適米 備考
山田錦 1923年兵庫県で生み出される
最も多く日本酒に使われ、全体の35.9%を占める
五百万石 1938年新潟で交配され誕生
「淡麗」という表現の元祖
2番目に多く日本酒に使われる
美山錦 長野県で突然変異により誕生し、1978年命名
3番目に多く日本酒に使われる
雄町 江戸時代から栽培されてきた希少な品種

日本酒の製造

  • 製造手順のうち、特に重要なポイントを押さえる
  • 並行複発酵という独特な発酵方式
  • 日本酒用の米は炊くのではなく「蒸す」
  • 硬水or軟水による酒質の違い

ブドウの果汁がそのまま発酵するワインとは異なり、日本酒は米のでんぷん質を糖に変換(糖化)してから発酵する必要があります。

低温でじっくりと時間をかけて醪を発酵させるのが特徴なのもポイント。

大枠の手順を表にしてあるので、順序や内容をイメージしながら覚えてください。

試験対策で特に重要なのは「並行複発酵」「段仕込み」関係のキーワードです。

日本酒の製造手順 備考
精米 原料の玄米を精米する
浸漬 原料米に水分を吸わせる
蒸きょう 水を吸わせた原料米を蒸す
麹の発生 蒸した米(麹米)に麹菌(麹カビ)を繁殖させて麹を作る
日本酒造りで最も重要な工程
酒母(酛もと)造り 麹と水、蒸米を合わせて酒母を作る
並行複発酵 酒母に仕込み水を加えて発酵させる
仕込み水の添加は複数回行う(段仕込み)
上槽 発酵を終えた醪を絞る
この作業が「漉す」という清酒の条件となる
濾過 濾過は行う場合と行わない場合がある(無濾過)
火入れ 微生物を殺菌する目的で60-65度程度に一定期間加熱する
火入れを一度も行わないものを「生酒」と呼ぶ
一般的には貯蔵前と瓶詰前で2回行う

並行複発酵

  • 米の糖化とアルコール発酵が同時に進行する日本酒特有の発酵方法
  • ワインは単発酵、ビールは単行複発酵

日本酒は「並行複発酵」という発酵方法で造られます。

「並行複発酵」は、お米の糖化とアルコール発酵を1つの容器の中で同時に行う発酵方式です。

ビールのような糖化発酵は、原料の大麦などを酵母を利用して糖化し、その後アルコール発酵を行います。
日本酒の「並行複発酵」は、これらの作業を同時進行で行うのが特徴。

ちなみに、一度糖化してからアルコール発酵を行う場合には「単行複発酵」、ブドウ果汁の糖をそのまま発酵させるワインは「単発酵」と言います。
それぞれのキーワードも覚えておきましょう。

段仕込み

  • 発酵時、酒母に麹・仕込み水・蒸米を段階的に加えること
  • 一般的には4日間に分けて3段階に仕込む
  • 「初添」「仲添」「留添」のキーワード

発酵時に一度に大量の原料を加えてしまうと、雑菌に汚染される危険性が高まるなどの問題が発生します。
そのため日本酒の場合は、酒母の増殖に合わせて段階的に水などの原料を加えていきます

1日目に仕込む原料は「初添はつぞえ
3日目に仕込む原料は「仲添なかぞえ
4日目に仕込む原料は「留添とめぞえ

と言います。

2日目は「踊り」といって酵母の増殖を待つため仕込みは行いません。

酒造用水について

  • 仕込み水、割水、洗米、浸漬用の水のこと
  • 辛口には硬水、甘口には軟水がいいとされる

日本酒にはたくさんの場面で水が使用されます。

仕込み水以外にも、米を洗う際や蒸す前の「浸漬」、出来上がった酒のアルコール調整のために加えられる「割水」もあります。

そのため水の成分が日本酒に与える影響は大きく、色がついたものや香りに異常がある水は使えません。
さらに鉄やマンガンが醸造に有害なため、これらの成分が少ないものが選ばれます。

一般的に軟水は甘口向け、硬水は辛口向けになります。

軟水:口当たりが柔らかくまろやかな味になる
硬水:酸味がやや強くなる「なぜ軟水が甘口向けなのか?」などの理由も知っておきましょう。

酒母(もと)について

  • 大きく生酛系きもとけい酒母と速醸系そくじょうけい酒母に分かれる
  • それぞれの酒母の名前と簡単な内容を紐づける

日本酒に使われる酒母には主に2種類があり、原始的な「生酛系酒母」と近代的な「速醸系酒母」に分けられます。

どちらも乳酸によって雑菌を排除し必要な酵母だけを増殖することが出来ますが、その乳酸を得る方法に違いがあります
それぞれの酒母がいつ頃造られたのかも重要なポイントです。

自然界の乳酸菌を使うのが生酛系、人工的に乳酸菌を添加するのが速醸系と覚えましょう。
酒母 備考
生酛きもと系酒母 自然の乳酸菌を取り込み乳酸によって雑菌の繁殖を抑える酵母培養法
江戸時代初期に確立した「生酛きもと
明治期に確立した「山廃酛やまはいもと
がある
糖化を助けるため「山卸やまおろし」という作業工程がある
速醸そくじょう系酒母 明治後期に開発
醸造用乳酸を添加して酒母培養する
安全性が高く早く完成する

品質表示

  • 米と米麹のみが原料の「純米○○」
  • 精米割合50%以下で「大吟醸」
  • 精米割合60%以下で「吟醸」
  • これらの名称を表示する場合は麹米の使用割合が15%以上でなければならない

「純米大吟醸」や「吟醸」は日本酒の有名なキーワードですね。
ここではこれらが何を表すのかを覚えましょう。

原料が米と米麹のみorさらに醸造アルコールを含むか
精米でどこまで米を削っていくか

がポイントになります。

これらの品質表示を名乗るためには麹米を15%以上使用しなくてはならない

という条件も覚えておきましょう。

品質表示 備考
純米大吟醸酒 精米割合50%以下
米と米麹で造る
純米吟醸酒 精米割合60%以下
米と米麹で造る
純米酒 精米割合に規定なし
米と米麹で造る
大吟醸酒 精米割合50%以下
米と米麹と醸造アルコールで造る
吟醸酒 精米割合60%以下
米と米麹と醸造アルコールで造る
本醸造酒 精米割合70%以下
米と米麹と醸造アルコールで造る

清酒のG.I.

  • 最初に認定されたのは2005年の「白山」
  • 「日本酒」そのものもG.I.に認定されている
  • 2021年に指定された5つが最優先

清酒にもワインのように原産地呼称制度があり、11の地域と1つの名称がG.I.として登録されています。

重要なのは「日本酒」そのものがG.I.登録されていることです。
これによって「日本酒」と名乗るためには、「国産米を使用し国内で醸造しなくてはならない」という条件がついています。

その他のものは「いつ指定されたのか」「産地はどこなのか」といったことは覚えておきたいです。
特に2021年に登録された新しい5地域は要チェックしておきましょう。

清酒のG.I. 産地の範囲と指定年月
白山 石川県白山市
2005年12月指定
日本酒 日本国
2015年12月指定
山形 山形県
2016年12月指定
灘五郎なだごろう 兵庫県南東部の5つの郷
2018年6月指定
はりま 兵庫県南西部の播磨地区
2020年3月指定
三重 三重県
2020年6月指定
和歌山梅酒 和歌山県
2020年9月指定
酒類区分は「その他の酒類」に分類
利根沼田 群馬県沼田市など5つの市区町村
2021年1月指定
山口県荻市と阿武郡阿武町
2021年3月指定
山梨 山梨県
2021年4月指定
佐賀 佐賀県
2021年6月指定
長野 長野県
2021年6月指定

日本酒練習問題

テスト
本記事で解説した日本酒について、ランダムで出題される練習問題を作成しました。
スキマ時間などに是非挑戦してみてください。

最後に

  • 米原料で漉したものを「清酒」
  • 飲用温度の広さや「ひやおろし」のキーワード
  • 「酒造好適米」の紐づけ
  • 日本酒の製造手順や水による特徴の違い
  • 生酛系酒母と速醸系酒母
  • 純米大吟醸などの品質表示

日本酒は細かいキーワードが多く、教本でのページ数の割に学習量は多いです。

しかしキーワードと意味が紐づいていれば解答できるものがほとんどなので、一つ一つ覚えていきましょう。

ソムリエワインエキスパート試験の勉強法はこちら↓

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