今回はサンジョベーゼを紹介します。
SangioveseはSangius(血液)とJoves(ジュピター)の合成語で、そのままジュピターの血という意味を持ちます。
イタリア全土で最も栽培量の多い黒ブドウ品種ですが、中でも有名なのはトスカーナ州。
単一・ブレンド、デイリーワインから高級ワインまで、さまざまなスタイルでイタリアのワインを支えています。
今回はそんなサンジョベーゼの特徴や有名ワインの一覧、相性のいい料理の選び方も解説します。
後半ではサンジョベーゼを使ったオススメワインも紹介するので、ワイン選びの参考にしてください。
サンジョベーゼといえばまずはキャンティですね!↑
サンジョベーゼの特徴
- イタリアで最も多く栽培される
- 濃いめのルビー色、酸とタンニンをしっかり感じるミディアムボディ
- 遺伝的な変異をしやすい
イタリアで最も多く栽培される
サンジョベーゼはイタリアで最も多く栽培される黒ブドウ品種です。
中でもトスカーナ州は世界的にも有名なサンジョベーゼの産地。
ChiantiやBrunello di Montalcinoといったサンジョベーゼワインの名前は聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。
濃いめのルビー色、酸とタンニンをしっかり感じるワイン
サンジョベーゼのワインは見た目は濃いめのルビー色で、やや強めの酸にタンニンをしっかりと感じる味わいです。
とはいえどっしりしたボルドーワインと比べると軽快で、ミディアムボディに分類されることが多い品種。
香りはやや控えめですが、熟成すると熟したプラムのような香りが強まります。
イタリア起源のブドウは主にイタリア国内でのみ栽培されることが多いですが、サンジョベーゼは唯一南北アメリカ大陸でも栽培され、国際品種として扱われるようになりました。
遺伝的な変異をしやすい
サンジョベーゼは遺伝子的に不安定なため、突然変異をしやすい品種です。
なんと88種もの亜種(=クローン)が存在し、クローンの数が多すぎて生産者も外見だけでは判別できないんだとか…。
クローンは大きく分けると
「サンジョベーゼ・ピッコロ系統」
「サンジョベーゼ・グロッソ系統」
に分類できるので、この2分類で語られることが多いです。
サンジョベーゼ・ピッコロ系統
- 粒が小さい
- よく見るサンジョベーゼの多くはこちらの系統
- フレッシュな香り、親しみやすい果実味と酸味
サンジョベーゼ・グロッソ系統
- 粒が大きい
- プラムのような香りを持ち、タンニンが豊富な重厚な味わい
- 長期熟成に耐えうる高級ワインに選ばれやすい
イタリア・トスカーナ州を代表するブドウ
- キャンティ
- ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
- サッシカイア
サンジョベーゼの有名産地と言えば何といってもイタリア・トスカーナ州です。
トスカーナ州の有名な赤ワインは、ほとんどがサンジョベーゼ主体(または単一)で造られます。
キャンティ
サンジョベーゼを使ったワインで最も有名なのがこのキャンティです。
キャンティは軽快で飲みやすく、ポピュラーなサンジョベーゼーワインとして世界中で人気があります。
もともとはフィレンツェとシエナの間に広がるキャンティ地方という丘陵地帯の特産品でした。
しかしあまりに人気で売れすぎてしまったために生産区域が拡大。
本来の地域以外からもキャンティを名乗るワインがどんどん生み出されてしまった歴史があります。
そのため元来の生産者と後発生産者を区別するために、キャンティ地方の生産者は元祖キャンティという意味の「キャンティ・クラシコ」を名乗ることが許されました。
イタリアワインの最上位グレードであるD.O.C.G.に分類されますが、生産区域が広すぎるため品質はピンキリ。
お手頃価格から楽しめるというメリットがある一方、上質なものを選ぶのが難しいという面もあります。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
ブルネッロとはサンジョベーゼ・グロッソのことで、100%サンジョベーゼ・グロッソで造られます。
名前からもわかるように、トスカーナ州のモンタルチーノという地域で造られる重厚タイプのサンジョベーゼワインです。
ピエモンテ州のバローロ、バルバレスコと並んでイタリアワイン三大銘酒とも呼ばれ、長期熟成も可能。
贈り物にもピッタリなので、機会があったら選んでみてください。
サッシカイア
トスカーナ州沿岸、ボルゲリという地域で造られるワインで、スーパータスカン(=スーパートスカーナ)と呼ばれるものがあります。
本来イタリアのワイン法では認められていない、イタリアの土着品種と国際品種をブレンドして造るのが特徴。
主にサンジョベーゼにカベルネソーヴィニヨンやメルローをブレンドし、その品質は最高クラス。
かつては法律で認められていない製法のため上位グレードの認定を受けることができず、テーブルワインとして安価に売り出されていました。
テーブルワインの価格で最高品質のワインが手に入るということで非常に人気となり、のちにスーパータスカン「サッシカイア」は特例として上位グレードの認定を受けることになります。
サッシカイアは今では一本何万円もする高級ワインですが、同じワイナリーが造るセカンドラベルやサードラベルは比較的手に入りやすい価格なので、試してみてはいかがでしょうか。
そのほかのサンジョベーゼを使った有名ワイン
- カルミニャーノ
- ロッソ・ピチェーノ・スーペリオーレ
- ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ
- モンテファルコ・ロッソ
- サンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ
- モレッリーノ・ディ・スカンサーノ
サンジョベーゼに合わせるオススメ料理
- トマトソースを使ったイタリア料理
- フルボディタイプなら赤身肉のステーキも
- トスカーナ特産チーズ「ペコリーノ」
やや豊富な酸を持つサンジョベーゼは、トマトソースを使った料理との相性が抜群です。
イタリア料理にはトマトソースを使ったパスタやピザなどがあるので、そのあたりとの組み合わせが特にオススメ。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのようなフルボディタイプなら、赤身肉のステーキとも合わせられます。
さらにトスカーナ州には「ペコリーノ」という特産チーズがあり、同郷のサンジョベーゼがよく合うのでこちらもお試しください。
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サンジョベーゼの由来
- 「ジュピターの血」という意味
- 「チリエジョーロ」と「カラブレーゼ・モンテヌオーヴォ」に由来する
サンジョベーゼはSangius(血液)とJoves(ジュピター)の合成語とされます。
直訳で「ジュピターの血」となり、古代ローマ時代からこの名で呼ばれていました。
近年の研究で南イタリアを起源とする「チリエジョーロ」「カラブレーゼ・モンテヌオーヴォ」が先祖ではないかと考えられています。
16世紀には「サンジョベーゼはイタリアワインにとっての重要品種である」という著述も残っていて、サンジョベーゼがいかに長くイタリアワインを支えてきたのかがわかります。
サンジョベーゼを使ったオススメワイン
晩酌に最適なデイリーワイン
記念日や贈り物にオススメなちょっといいワイン
こだわりの高級ワイン
サンジョベーゼが好きな人にオススメなブドウ品種
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最後に
- イタリアで最も多く栽培される
- 濃いめのルビー色、酸とタンニンをしっかり感じるミディアムボディ
- 遺伝的な変異をしやすい
- イタリア・トスカーナ州が特に有名
- トマトソース系のイタリア料理や赤身ステーキの他、トスカーナ州郷土料理とも相性〇
- サンジョベーゼは「ジュピターの血」という意味
- 「チリエジョーロ」と「カラブレーゼ・モンテヌオーヴォ」に由来する
今回はサンジョベーゼを紹介しました。
サンジョベーゼといえばやはりトスカーナ州。
お手頃なキャンティは晩酌にもピッタリで、バルにいったときなどでも選びやすいです。
ブルネッロディモンタルチーノはキャンティのイメージとは全く別物なので、飲んだことがない人は是非お試しください。
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