今回はシラー(シラーズ)を解説します。
フランスなどのヨーロッパではSyrahと呼ばれていますが、オーストラリアや一部の国ではShirazと呼びます。
シラーといえば胡椒の香りが特徴として挙げられやすいですが、実は産地によって胡椒の香りの出方には差があるのをご存じでしょうか。
どっしりしたフルボディタイプになるので、カベルネソーヴィニヨンが好きな人にもオススメな品種。
この記事ではシラーの特徴や胡椒の香りがする理由、産地による違いや相性のいい料理も紹介しています。
後半にはオススメのシラーワインもリストアップしておくので、ワイン選びの参考にしてください。
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↑ちょっと珍しいですが、スパークリングワインにしてもおいしいです!
シラーの特徴
- フルボディでスパイシーな赤ワイン
- 小粒で分厚い皮を持ち、色素の多いブドウ
- 冷涼なエリアではスパイシーさが目立つ
- 比較的温暖で、乾燥した地域を好む
- 高品質なシラーは長期熟成向き
フルボディでスパイシーな赤ワイン
シラーから造ったワインはどっしりフルボディ。
冷涼な産地では胡椒の香りが目立つのが特徴で、温暖になるとスパイシーさが減り、代わりに果実味が強くなります。
胡椒の香りはロタンドン由来
シラーにはロタンドンという香り成分が含まれています。
ロタンドンは胡椒・オレガノ・タイムなどのスパイス類にも含まれていて、いわゆる「スパイスらしい香り」を感じる成分。
スパイス類と同じ香り成分があるから、シラーからもスパイスの印象を感じるわけですね。
ロタンドンは冷涼な地域ほど含有量が多くなる傾向があり、冷涼な産地で造ったシラーはスパイスの印象が強くなります。
ちなみにロタンドンは人類の20%ほどの人が感じ取れない香り成分といわれます。
遺伝的なもので、訓練すれば克服できるようなものではないため、シラーからスパイス感を感じなくてもあまり気にしないようにしましょう。
シラー以外にロタンドンが含まれるブドウには
イタリアのスキオペッティーノ
オーストリアのグリューナーフェルトリーナ
などがあります。
小粒で分厚い皮を持ち、色素の多いブドウ
シラーは小粒で分厚い皮を持ち、非常に色の濃いブドウです。
フルボディワインで有名なカベルネソーヴィニヨンと比較してもシラーのほうが濃いことが多く、重さもしっかり感じられます。
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比較的温暖で、乾燥した地域を好む
シラーは比較的温暖な産地でよく栽培されます。
スパイス感が出るのは冷涼な地域、といってもシャンパーニュやブルゴーニュほど寒い地域になってしまうとうまく育ちません。
代表的なシラーの産地として南フランスとオーストラリアがありますが、どちらも比較的温暖な地域です。
気候条件さえ合えば比較的よく育つので、近年世界中で栽培量が増加傾向にあります。
高品質なシラーは長期熟成向き
渋みなどがギュッと凝縮した高品質なシラーは、長期熟成向きの高級ワインになります。
特に代表産地のフランス南部・ローヌ渓谷地方では、最低10年は熟成させることをオススメされるものも。
熟成させたシラーは重さが若干優しくなり、代わりに産地ごとの個性を色濃く映し出します。
果実味たっぷりの元気なシラーとは全く印象が異なるので、機会があったら試してみてください。
産地ごとのシラーワインのスタイル
シラーの産地はフランス南部のローヌ渓谷地方と、オーストラリアが有名です。
ローヌ渓谷地方ではさらに北部と南部とで印象が変わってくるので、それぞれ解説しますね。
フランス・ローヌ渓谷地方
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北部
- スパイス感が強い
- シラーズ主体または単一で造られる
ローヌ渓谷地方の北部は、高品質なシラーの産地として有名です。
シラーの産地のなかでは冷涼なので、シラーのスパイス感を経験したい時にはローヌ北部のワインがオススメ。
一般的にはシラー単一(または若干他品種をブレンド)で造ることが多いのも特徴で、有名なワインにはHermitageやCote-Rotieなどがあります。
南部
- 補助品種としてブレンドに使われる
- チョコレートや焦げたゴムの香り
北部に比べて少し温暖な南部では、胡椒の印象が和らいでチョコレートや焦げたゴムのような甘く香ばしい香りが出てきます。
恵まれた気候を持ち、栽培できる品種も多い地域なので、シラー単一で造るよりもブレンドに使われることが多いです。
中でもグルナッシュを主体に、シラーをブレンドするというスタイルが多い印象。
有名なワインにはChâteauneuf-du-Papeがあります。
オーストラリア
- 濃厚な黒系果実の印象が強い
- 単一で造ったり、カベルネソーヴィニヨンとブレンドしたりする
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オーストラリアでは、シラーのことをシラーズと呼びます。
※オーストラリア以外にも、一部の国ではシラーズの名前が使われています。
フランスよりもさらに濃厚で黒系果実のパワフルな味わいがあり、少しカベルネソーヴィニヨンに似た印象を感じることも。
温暖なので、スパイスの印象はあまりありません。
産地ではバロッサヴァレーが特に高品質。シラーズ単一の他、カベルネソーヴィニヨンをブレンドしたタイプもあります。
ペンフォールズ社のGrangeや、コンビニワインでおなじみイエローテイルが有名です。
シラーの由来
- フランス・ローヌ渓谷地方原産
- デュレーザ×モンドゥーズ・ブランシュの自然交配品種
シラーはフランス・ローヌ渓谷地方が原産と言われます。
同じくローヌ原産のデュレーザとモンドゥーズ・ブランシュが自然交配して生まれました。
シラーに合わせるオススメ料理
- ジビエなど香りの強い肉料理
- スパイシーな味付けの料理
- 濃厚な煮込み料理
どっしりとした重さと胡椒の印象があるシラーには、ジビエのような香りの強い肉料理がよく合います。
黒コショウなどのスパイスで味付けしているステーキもバッチリ。
シラーの濃厚さに合わせて、同じく濃厚な煮込み料理も相性がいいです。
料理とワインのペアリングについては「【ワインと料理の組み合わせ方】初心者でもできる!上手なマリアージュの5つのコツ」で詳しく解説しています。
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シラーを使ったオススメワイン
晩酌に最適なデイリーワイン
記念日や贈り物にオススメなちょっといいワイン
こだわりの長期熟成ワイン
最後に
- フルボディでスパイシーな赤ワイン
- 小粒で分厚い皮を持ち、色素の多いブドウ
- 冷涼なエリアではスパイシーさが目立つ
- 比較的温暖で、乾燥した地域を好む
- 高品質なシラーは長期熟成向き
- ローヌ渓谷地方とオーストラリアが有名産地
- 産地によってスパイス感や果実味に違いがある
- フランス・ローヌ渓谷地方原産
- デュレーザ×モンドゥーズ・ブランシュの自然交配品種
- ジビエなどの香りの強い料理やスパイスで味付けした肉料理と相性がいい
今回はシラー(シラーズ)を解説しました。
どっしりとしたフルボディワインなので、カベルネソーヴィニヨンが好きな人にもオススメ。
ローヌ北部のシラーは高価格なものが多いですが、その他の産地とは違った印象を感じられるので機会があればお試しください。
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