世界各国で造られているワイン。
国によって気候や文化は異なり、それによって生まれるワインも非常に多様です。
今回は日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの筆者が、ワイン初心者向けに、国ごとにワインの特徴をわかりやすく解説していきます。
初心者にはラベル表示がわかりやすい新世界ワインが特にオススメ。
お好みのワインを探すときの参考にしてください。
旧世界と新世界とは?
- 旧世界:紀元前~中世ころまでにワイン文化が根付いた地域
- 新世界:大航海時代以降にワイン文化が根付いた地域
- 法的な定義や規制があるわけではない
ワインのコンテンツを見ていると、特に新世界という言葉はよく見聞きします。
新世界に対して、新世界以外のエリアを旧世界としているわけですが、これらはいつワイン文化が根付いたのかで区別されています。
中世の大航海時代を境に、それより前を旧世界、それより後を新世界と覚えておきましょう。
旧世界と新世界はワイン文化が根付いた時代が違うことによって、ワインの法律や造り方の特徴にも違いがあります。
旧世界ワイン
- フランス
- イタリア
- スペイン
- ドイツ
- 紀元前後から伝統的にワインを造っている国
- 土地がワインの性質に影響を与えるという考え方(テロワールの概念)
- ワイン法で栽培地域と使用できるブドウ品種が紐づいて定められている
- ラベル表記には「どこで・誰が造ったか」が大きく書かれる
旧世界のワインは、それぞれの土地の文化にワインが根付いています。
歴史や伝統を大切にするので、使用するブドウ品種は昔からその産地で栽培されていたものを使い、製造方法も伝統的な方式を重視します。
ワインのラベルにも産地の名前や生産者の名前が大きく書かれていて、ブドウ品種までは書かないことが多いのも特徴。
「どの産地でなんのブドウが栽培されているのか」を知らない初心者には、難しく感じることが多い地域です。
新世界ワイン
- アメリカ
- チリ
- アルゼンチン
- オーストラリア
- ニュージーランド
- 日本
- 大航海時代以降に旧世界のワインをお手本としてワイン造りを始めた国
- 法制度の確立は1970年代以降
- ブドウ品種がワインの性質に影響を与えるという考え方
- ラベル表記には「どのブドウ品種で造ったか」が大きく書かれる(ヴァラエタルワイン)
- ワイン法で栽培地域は定められているものの、使用するブドウ品種は自由
大航海時代にヨーロッパからブドウが伝達し、ワイン文化が根付いていった地域を新世界と呼びます。
ワイン法が制定されたのは1970年代以降なので、法整備もかなり近代的。
生産者や消費者はテロワール(=土地の違いがワインに個性を与える)の概念が存在することを理解しつつも、法律の中に数値化できないあいまいな概念を記載することはしません。
「どこでなんのブドウが栽培されているのか知ってて当たり前」という暗黙の常識に頼る旧世界の制度は廃止し、ラベルには大きくブドウ品種を書くことが多いので、ワイン初心者にもわかりやすいです。
かつては「本格的なワインをつくる旧世界」「粗悪な新世界」というイメージが強くありましたが、近年は旧世界ワインと同等・またはそれ以上の品質のワインも多く生産されています。
旧世界ワインの特徴
- フランス
- イタリア
- スペイン
- ドイツ
フランス
フランスはワイン輸出額世界1位のワイン大国です。
EUワイン法の基礎にもなったA.O.C.という厳しいワイン法をもち、ワインの品質・ブランドを保っています。
EU以外の国でもA.O.C.のような原産地呼称が使われることが多いため、A.O.C.を理解することでワイン選びはグっと楽になります。
A.O.C.については「【知っていると便利】フランスワイン法A.O.C.の5つのポイント」にて詳細に解説しています。
世界的に有名なワインも多いですが、今回はそんなフランスの中でも
- 格付けシャトーで有名なボルドー地方
- ロマネコンティなど高級ワインを生むブルゴーニュ地方
- スパークリングワインのシャンパーニュ地方
- 高級ワインからデイリーワインまで幅広いローヌ渓谷地方
- デイリーワインの一大産地ラングドック&ルーション地方
をご紹介します。
ボルドー
- 【赤ワイン】
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
- 【白ワイン】
- セミヨン
- ソーヴィニヨン・ブラン
ボルドー地方はブルゴーニュとならんで、フランス二大ワイン産地の一角です。
ワイン用ブドウを造るのに適した気候・土壌を持ちますが、雨が多いのが欠点。
複数のブドウ品種をブレンドしてワイン造りをすることによって、天候による収穫量のブレに対応できるようにしています。
ボルドーワインと言えば長期熟成も可能な重厚で複雑な赤が有名ですね。
10000を超えるシャトー(ワイナリー)がありますが、そのなかでも頂点に君臨する61シャトーの格付けは有名です。
格付けは1855年に実施されましたが、いまでもそれぞれの生産者が自身のブランドに見合うよう、偉大なワインを造り続けています。
白ワインは甘口と辛口ともに生産されていて、特にソーテルヌの貴腐ワインは世界3第貴腐ワインに数えられる高級ワインです。
今回はセミヨンについて解説します。 辛口~極甘口まで幅広く活躍しているうえ、世界有数の高級ワインに使われる品種ですが、知名度はあまりない印象。 ソーヴィニヨンブランの補助品種になることが多く、「セミヨン単体ってどんな味?」なんて[…]
今回は貴腐ワインについて解説します。 「貴腐ワインって何?」っていう人も多いんじゃないでしょうか。 少しワインを勉強したことがある人なら、「甘いワインってことは知ってるけど…」って人もいるかもしれません。 貴腐ワインの原料[…]
ブルゴーニュ
- 【赤ワイン】
- ピノ・ノワール
- ガメイ
- 【白ワイン】
- シャルドネ
ブルゴーニュはボルドーと対をなすフランス二大産地で、少量生産・高品質ワインの産地です。
基本的に単一のブドウ品種でワインを造り、赤ワインにはロマネコンティ、白ワインにはモンラッシェなどの有名高級ワインが目白押し。
これらの高級ワインはブルゴーニュ地方の中でもコート・ドール(=黄金の丘)というエリアに集中しています。
コート・ドールは冷涼でありながら日照量は多く、高品質ワインが造られる条件がそろっています。
土壌などの関係で隣同士の畑でも出来上がるワインの個性が全くことなるなど、多彩なテロワールを持つことでも有名です。
それもあってブルゴーニュ地方では畑ごとに細かく格付けされていて、単一の畑から取れたブドウのみを使ったワインは畑名のみがラベルに記載されて、ブルゴーニュとはどこにも書かれません。
そのため「畑名を知らないとブルゴーニュ産なのかもわからない」というように判別が非常に難しい地域です。
しかし各生産者は細かく区分けされた畑ごとの特徴をワインに個性(テロワール)として表現するため、それらに魅了されたブルゴーニュオタク(ブルオタ)な人たちも数多く存在する人気のエリアです。
ブルゴーニュの真南に位置するボージョレ地区
厳密にはブルゴーニュ地方ではありませんが、ブルゴーニュの南にはヌーボーで有名なボージョレ地区があります。
メディアによってはボージョレ地区も含めてブルゴーニュ地方と呼ぶこともあります。
ブルゴーニュ地方の赤ワインは基本的にピノ・ノワール100%で造られますが、ボジョレー地区のみガメイというブドウ品種が使われます。
ピノ・ノワールは繊細で高貴なワインになりますが、ガメイはフレッシュで果実感ある味わい。
どちらもライトボディなので、重たいワインが苦手な方は試してみてください。
シャンパーニュ
- シャルドネ
- ピノ・ノワール
- ムニエ
シャンパーニュは有名なスパークリングワイン「シャンパン」の生産地です。
瓶内二次発酵という昔ながらの製法でじっくりと造られたシャンパンの特徴は、繊細な味わいときめ細かい泡。
かつてはドイツと並んでブドウ栽培の北限といわれるほど冷涼な地域で、ブドウの成熟に難があります。
そのため複数のブドウやヴィンテージをブレンドしてワインを造ることで生産量を安定させるのが一般的。
ワインに慣れていない人でも馴染みやすい味わいで、贈り物やお祝い、記念日などにもよく使われます。
スパークリングワインが有名ですが、実は少量ながら「コトーシャンプノワ」という非発泡の普通のワイン(スティルワイン)も造られています。
非発泡なのにスパークリングワインのような留め金突きのコルク栓が使われることが多く、スパークリングワインを買おうと思ったらコトーシャンプノワだったなんてこともあるようです。
地球温暖化の影響で以前よりブドウが成熟しやすく、質の高いコトーシャンプノワも生まれてきています。
興味がある方はこちらも試してみてください。
ローヌ渓谷地方
- 【赤ワイン】
- シラー
- グルナッシュ
- 【白ワイン】
- ヴィオニエ
- ルーサンヌ
- マルサンヌ
南フランスにあるローヌ渓谷地方は、北部と南部で造られるワインの特徴に違いがあります。
北部は単一品種(主にシラー)で比較的高級ワイン、南部は複数品種をブレンド(主にグルナッシュ主体)したデイリーワインが多く、気候にも違いがある関係で主要ブドウ品種も異なります。
生産量はボルドーに次いでフランス第二位で、赤ワインが中心です。
恵まれた暖かい気候から生まれるシラーやグルナッシュの豊かな果実味は見事なもので、品質も安定しているのでワインに慣れてきたら是非試してみてほしいです。
広域AOCの「コート・デュ・ローヌ」がほとんどですが、狭域のものでは南部の「シャトー・ヌフ・デュ・パプ」「ジゴンダス」、北部の「コート・ロティ」「エルミタージュ」などが有名です。
今回はシラー(シラーズ)を解説します。 フランスなどのヨーロッパではSyrah(シラー)と呼ばれていますが、オーストラリアや一部の国ではShiraz(シラーズ)と呼びます。 シラーといえば胡椒の香りが特徴として挙げられやすいです[…]
ラングドック&ルーション
- 【赤ワイン】
- シラー
- グルナッシュ
- 【白ワイン】
- ヴィオニエ
- ルーサンヌ
- マルサンヌ
ローヌと同じく、南フランスに位置するラングドック&ルーション地方。
手頃なデイリーワインが多く生産されていて、AOCよりも1つ下の格付けになるIGP(=地酒)がメインの産地です。
ブドウ栽培に適した地中海性気候のため、さまざまなブドウ品種が良く育ちます。
それらをブレンドしてワインを造り、いずれも気軽に飲みやすいものが多いのが特徴。
筆者も愛用するデイリーワインまとめ売りセットにも、よくラングドック&ルーションのワインが入っていておいしく楽しんでいます。
じっくりワインを飲むというよりは、手軽に晩酌したいときには是非ラングドック&ルーションのワインを選んでみてください。
筆者イチオシのルーションワインは「【ワイン愛飲家のオススメ】BASTIDE MIRAFLORS【南仏の超ハイコスパワイン】」で紹介しています。
何本もデイリーワインを飲んでいると、たまに価格を疑いたくなるほど美味しいワインに出会うこともありますよね。 今回は年間100本以上のワインを飲む筆者がオススメする、ハイコスパな南仏ワインを紹介したいと思います! 気になったら是非[…]
イタリア
イタリアはブドウ栽培に最適な気候を持ち、20の州すべてでワインが造られています。
州ごとに固有の土着品種や変異品種を栽培することも多く、すべてを把握することは難しいです。
最初はイタリア二大ワイン産地であるピエモンテ州とトスカーナ州からスタートしましょう。
ピエモンテ
- 【赤ワイン】
- ネッビオーロ
- 【白ワイン】
- モスカート・ビアンコ
ピエモンテ地方は、フランスのブルゴーニュワインのように量より質にこだわった地域。
特にネッビオーロから生まれる王のワインバローロと、女王バルバレスコが有名です。
ネッビオーロは世界一長期熟成に耐えると言われるほどの強い酸とタンニンが特徴。
熟成させると酸とタンニンが滑らかになり、非常に複雑な風味をもつ偉大なワインになります。
バローロとバルバレスコは、生産者の元で熟成させる期間が法律で決まっています。
市場に出る頃には飲み頃になっているものが多いので、よほど高級品でなければ自宅での熟成は考えなくても大丈夫です。
白ワイン品種のモスカート・ビアンコはマスカット系の品種で、甘い香りとフレッシュさが特徴。
甘口~辛口まで造られますが、スパークリングワインの「アスティ」が特に有名です。
今回はネッビオーロについて解説します。 ネッビオーロで有名なのは何といってもイタリア・ピエモンテ州で造られる「王のワイン・バローロ」です。 長期熟成させる高級ワインのイメージが強いブドウ品種ですが、実は早飲みタイプも造られていま[…]
トスカーナ
- 【赤ワイン】
- サンジョベーゼ
トスカーナは赤ワインで有名な「キャンティ」の産地です。
キャンティはかつて、「キャンティと書けば売れる」というほどに人気でした。
当時はワインの法律がきちんと制定されていなかったため、どの生産者もキャンティという名前でワインを販売し、品質の低いものも横行。
そのため「ここからここまでの産地だけがキャンティと名乗っていい」という法律が制定され、人気になる元となった元祖キャンティは「キャンティクラシコ」と名乗っていいというルールも生まれました。
これが現在フランスのAOC法など、各国で導入されている原産地呼称法の原点になったともいわれています。
そんなキャンティはサンジョベーゼ主体で造られ、軽快で飲みやすい味わい。
同じサンジョベーゼからつくる(正確にはサンジョベーゼの亜種)「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」という重厚なワインもトスカーナで造られています。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは知名度も高く、贈り物などにもオススメです。
ボルゲリの「スーパータスカン」も忘れてはいけません。
当時イタリアのワイン法ではフランス系品種を使ってワインを造ることが認められておらず、そういったワインはすべて「その他のテーブルワイン」のカテゴリーに分類されていました。
しかしボルゲリの生産者は自分たちの風土に合うのはフランス系品種だとこだわりを持ち、イタリアワイン法の枠に収まらない、カベルネ・ソーヴィニヨン主体でつくる高品質なボルドータイプのワインも生み出しました。
かつては安物のテーブルワインとして売られていましたが、あまりに高品質のため製造元のサッシカイアが単独ワイナリーでD.O.C.(フランスで言うA.O.C.)に認定され、スーパータスカンとして人気を博しています。
スペイン
- 【赤ワイン】
- テンプラニーリョ
情熱の国スペインは、赤ワインとスパークリングワインが特に有名な産地です。
イタリアと同じように土着品種が多いですが、その中でもテンプラニーリョを使った赤ワインが代表的。
テンプラニーリョは亜種が多いですが、一般的には香りが華やかなフルボディワインになることが多いです。
また、スペインでは「カヴァ」というスパークリングワインと「シェリー」という酒精強化ワインも有名です。
カヴァはシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵という昔ながらの製法で造られますが、ブドウの価格が安いことと、工程の一部を機械化しているためシャンパーニュに比べて手ごろな値段で買うことができます。
ものすごくコスパが高いスパークリングワインなので、「今日は気楽に泡飲みたいな」なんてときは、悩まずカヴァを選んでもいいと思います。
酒精強化ワインで有名なシェリーは、発酵中にブランデーを添加してアルコール度数を高めることで保存性を上げたワインです。
アルコール度数や熟成方法によって5つの区分けがされ、辛口から極甘口まで存在します。
ドイツ
- 【赤ワイン】
- シュペートブルグンダー
- 【白ワイン】
- リースリング
ドイツはフランス・シャンパーニュ地方とならんで、ワイン用ブドウが栽培できる北限と言われる非常に寒い国です。
そのため寒い地域が得意なブドウが栽培されていて、代表的なのはリースリングを使った白ワイン。
辛口~極甘口まで幅広く、最上位の極甘口は世界三大貴腐ワインに数えられています。
ゼクトというスパークリングワインも有名で、高品質なものはシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られます。
切れのよい味わいで、シャンパーニュやカヴァなどとは違ったスパークリングワインが飲みたいと思ったら選んでみてください。
赤ワインに使われるシュペートブルグンダーはフランスでいうピノ・ノワールのこと。
風味がフランスとは異なり、同じブドウ品種とは思えない個性を発揮しています。
フランスとドイツで飲み比べてみると違いが分かりやすく、好みも分かれるかもしれません。
ドイツワインはフルートボトルという細長いボトルや、ボックスボイテルという丸形のボトルにワインを詰めるため、お店に並んでてもすぐにわかるのもありがたいです。
今回は貴腐ワインについて解説します。 「貴腐ワインって何?」っていう人も多いんじゃないでしょうか。 少しワインを勉強したことがある人なら、「甘いワインってことは知ってるけど…」って人もいるかもしれません。 貴腐ワインの原料[…]
新世界ワインの特徴
- アメリカ
- チリ
- アルゼンチン
- オーストラリア
- ニュージーランド
- 日本
アメリカ
- 【赤ワイン】
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- ジンファンデル
- 【白ワイン】
- シャルドネ
アメリカはワインのゴールドラッシュ期からワインの消費量が増加し、現在は消費量世界第一位。
ヨーロッパ諸国と比べるとワイン新興国でありながら、ワイン専門の大学を作ったり科学の粋を集めてワイン造りに取り組み、非常に質の高いワインを生み出しています。
ヨーロッパ系の品種を主に栽培していますが、その味わいは全体的にパワフル。
しっかりと樽の効いたシャルドネのような、はっきりとした味わいの分かりやすいワインが多いです。
有名な産地はカルフォルニア州のナパ・ヴァレーとソノマ・ヴァレー。
ナパ・ヴァレーはボルドー系、ソノマ・ヴァレーはブルゴーニュ系という感じでイメージすればわかりやすいかもしれません。
固有品種ジンファンデル
ジンファンデルはカルフォルニアを代表する赤用品種。
イタリア南部で栽培されるプリミティーボというブドウ品種と同じものであることが分かっています。
一般的にしっかりとした味わいのフルボディタイプとなり、またアルコール度数も高いアメリカっぽいワインに仕上がります。
最近はカベルネ・ソーヴィニヨンなどのヨーロッパ系品種に押さえれて栽培数が減少傾向のようですが、見かけたらこちらも試してみてください。
オレゴン州のピノ・ノワールにも注目
アメリカで生産されるワインの大半がカルフォルニア州で造られますが、ブルゴーニュに近い気候を持つと言われるオレゴン州も注目です。
オレゴン州はウィラメット・ヴァレーを中心に、高品質なピノ・ノワールの産地として名を上げてきています。
ブルゴーニュの大手生産者もオレゴン州に進出するところも出てきていて、今後がますます楽しみな産地です。
チリ
- 【赤ワイン】
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カルメネール
チリは非常にブドウ造りに適した気候を持つ国です。
国際的なブドウ品種が多く栽培されますが、特にカベルネ・ソーヴィニヨンは「チリカベ」と呼ばれ高評価。
安定した気候と豊かな日差しによってブドウがしっかり熟し、果実味豊富なワインになるので初心者にもオススメです。
沢山のブドウ品種が栽培されるうえに、多くは単一品種で造るので初心者がブドウ品種の特徴をつかむにはうってつけの産地。
ブドウ単価の安さと日本との関税撤廃の関係でいいワインが安くワインが買える国です。
ブドウ栽培に適した環境を持つうえに、近年は技術も向上しているため、どんどん高品質なワインが生まれています。
今となっては固有品種、カルメネール
カルメネールはチリを代表する赤ワイン用品種です。
かつてはメルローとして栽培されていましたが、近年になってボルドー原産のカルメネールだったと判明しました。
今はボルドーではほとんど栽培されておらず、チリが主な産出国になっています。
特徴ははっきりとした果実味と深いコク。
しっかり熟さないとピーマンのような緑っぽい香りが出てしまいますが、チリの恵まれた気候のおかげで成熟はバッチリです。
デイリーワインにも多く使われるので是非試してみてください。
アルゼンチン
- 【赤ワイン】
- マルベック
- 【白ワイン】
- トロンテス
チリとお隣のアルゼンチンも、単一品種でワインを造ることが多いです。
白ワイン品種のトロンテスはアルゼンチン原産で、現在もアルゼンチンが主な産出国。
マスカット系品種で香り高いのが特徴で、比較的手ごろなワインが多めです。
日本人のイメージする食用ブドウに近いので、初心者にも飲みやすいオススメ品種です。
赤ワイン品種のマルベックは、フランスのボルドーや南西地方のカオールなどでも栽培されるブドウです。
黒ワインと呼ばれるほどの色の濃さが特徴。
その色から連想される通り非常に濃いタンニンと、カシスのような香りもあります。
しかし酸は穏やかで意外にも口当たりが優しい甘めのワインに仕上がります。
アルゼンチンを代表するブドウ品種で、筆者イチオシのブドウ品種でもあります。
標高の高さの利点
アルゼンチンはワイン産地の中では温暖な地域です。
平地では暑すぎることもあり、標高の高いエリアでブドウ栽培を行う特徴があります。
昼夜の寒暖差がブドウに複雑味を与えるうえ、ブドウに害虫がつきにくいメリットもあります。
そのためオーガニックなワイン造りをする造り手も多いです。
オーガニックワインについては「自然派ワインとは?オーガニックやビオ、無添加ワインとの違いも解説」をご覧ください。
オーストラリア
- 【赤ワイン】
- シラーズ
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- ピノ・ノワール
オーストラリアはシラーズが有名です。
南フランス原産のシラーと同一品種と言われますが、オーストラリアではフランスと比べて果実味が強く、ワイン初心者にも馴染みやすい味わいになります。
オーストリアを代表するブドウ品種で、世界で現存する最も古いシラーズの樹はオーストラリアにあります。
国の南部にワイン産地が集中し、クナワラのカベルネ・ソーヴィニヨンやタスマニア州などの冷涼な地域で造られるピノ・ノワールも注目されています。
「世界で最も愛されるワインブランド」といわれる、ワラビーの絵が描かれたイエローテイルが有名ですね。
ニュージーランド
- 【赤ワイン】
- ピノ・ノワール
- 【白ワイン】
- ソーヴィニヨン・ブラン
ニュージーランドはソーヴィニヨン・ブランの一大産地として有名です。
マールボロを中心に、非常に高品質なソーヴィニヨン・ブラン単一ワインが造られています。
特徴はフランス産よりもはっきりとした草や草原のような香り。
味わいをつかみやすく飲みやすいので、初心者にもオススメです。
近年はニュージーランド南部のセントラルオタゴを中心に、ピノ・ノワールも注目されています。
基本的にはブルゴーニュに近い風味ですが、もう少しカジュアルな味わい。
高品質なものも多く、価格も上昇傾向になっています。
日本
- 【赤ワイン】
- マスカット・ベーリーA
- 【白ワイン】
- 甲州
日本は固有品種の甲州とマスカット・ベーリーAが有名です。
特に甲州は評価が高く、すっきりとした味わいが人気。
和食との相性も良く、お寿司や肉じゃがなどと一緒に楽しむことが出来ます。
ヨーロッパ系のブドウ品種では長野県が有名で、特に桔梗が原のメルローは世界的にも注目されています。
最後に
今回は広大なワイン産地の中から旧世界と新世界の代表的な産地を紹介しました。
旧世界ワインは土地の文化にワインが根付いていて、ラベルにもブドウ品種を書かないことが多いです。
特に有名な旧世界の産地はフランス・イタリア・スペイン・ドイツですが、ほかにもポルトガルやオーストリア、ハンガリーなどの東ヨーロッパ諸国も該当します。
新世界のワインはブドウ品種を大きくラベルに表示することが多く、ワイン初心者にもわかりやすいのでオススメ。
価格も手頃なものが多いですが、品質は年々あがってきています。
気候や社会情勢の影響で、特にフランスワインの価格が非常に高騰しているので、今こそ新世界ワインが台頭してくるチャンスかもしれません。
この記事を参考にして、多様なワインの世界を是非楽しんでいただければと思います。
ワインを家飲みで楽しむコツを解説しました↓
今回はワインの家飲みについてです。 コロナ禍になって、ワインなどのお酒を家飲みする人が増えましたね。 難しいイメージのあるワインですが、家でも簡単にできるいくつかのコツを実践するだけで一層おいしく楽しむことができます。 筆[…]
ワイン初心者にオススメの勉強手順はこちら↓
ワイン初心者 ワインの勉強は何から始めればいいですか? Iseya 効率のいいやり方を紹介します! 今回は、これからワインの勉強をスタートしようと考えている人に向けた記事です。 初心者は何か[…]