- プロフィールや歴史も頻出
- 南オーストラリア州の生産量が多いが、生産量がごく少量の西オーストラリア州も重要
- ワイン法は「85%ルール」
ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズ。
今回はオーストラリアです。
オーストラリアといえば代表品種のシラーズが思い浮かびますね。
世界最古のシラーズの樹が現存し、フィロキセラの被害も限定的なため、自根のブドウ樹も多く栽培されています。
コンビニでもよく見かけるカンガルーのイラストが描かれた「イエローテイル」のように、手頃で美味しいワインも多いです。
近年はタスマニア州などの冷涼なエリアを中心に、高品質なピノノワールやシャルドネも生産されるようになりました。
試験では基本的なことにくわえて、プロフィール、歴史、地図問題も多く出題される傾向にあります。
今回はオーストラリアの試験対策ポイントを一覧化しました。
最後に練習問題も載せてありますので是非挑戦してみてください。
またニュージーランドとつながる点も多いので、並行して学習するのがオススメです↓↓
・ニュージーランドの重要ポイント&練習問題
全ての記事にランダムで出題される練習問題がついているので試験学習にうってつけ。
独学・スクール通学を問わず、ソムリエ&ワインエキスパート試験合格を目指す人全員に役立てるようになっています。
詳しくは下記リンクの記事をチェックしてくださいね。
ソムリエ・ワインエキスパート試験はワインの難関試験です。 勉強も大変そうだし、何から手をつけたらいいのかもわからないですよね。 筆者は年末頃から少しずつ勉強をスタートして、年明けからはオンラインスクールも利用しながら一発で合格す[…]
オーストラリア総論
- 国土の南半分に産地が集中
- ワインにスクリューキャップを採用した初めての国
- 広大な国土に比べて人口が少ないため、効率的なブドウ栽培が求められる
- 輸出主体のワイン生産
- 温暖化により水不足が深刻化
オーストラリアはヨーロッパ全体の約7割に匹敵する広大な国土を持ちますが、人口は2500万人と非常に少ないことが特徴です。
必然的に国内のワイン消費量も少なく、生産されるワインの6割は輸出向け。
ブドウ栽培も手摘み収穫のように人手がかかることは行いにくく、機械を導入するなど効率化が進んでいます。
近年では地球温暖化などの影響で干ばつが頻発し、灌漑設備の導入が必要になりました。
そのためオーストラリアワインの価格は上昇傾向。
環境問題が改善されない限り、手ごろな価格帯の生産量が大きく増えることは難しいと考えられています。
ワイン生産地は国土の南半分に広がり、特に南東部に集中しています。
さらにオーストラリアといえば、ワインの栓にスクリューキャップを初めて導入したことも忘れずに。
オーストラリアワインの歴史のポイント
- 1788年Arthur Phillip大佐がブドウ樹を持ち込む
- 1825年James Busbyがニューサウスウェールズで本格的なワイン造りを始める
- 1940年代後半ペンフォールズ社の醸造技術者Max Schubertがフランスでワイン造りを学ぶ
- 1951年ペンフォールズ社が「Grange Harmitage BIN1」を発売
- 1958年ヘンチキ社が「Hill of Grace」を生産
- 1994年ジェネリック名表記が禁止になりヴァラエタルシステムが浸透
- 2000年ヴィンテージからクレアヴァレーの生産者がスクリューキャップを採用
ペンフォールズ社のグランジとヘンチキ社のグレイスは
「ボルドーのようにブレンドして造るグランジ」
「ブルゴーニュのように単一畑のシラーズで造るグレース」
として好対照です。
ヨーロッパ各国の有名ワインを名乗ったワイン(ジェネリック名表記ワイン)にも注目です。
「シャブリ」「シェリー」などの名前で販売される主流なワインでしたが、EUからの指摘で販売禁止に。
ヴァラエタルワインが浸透するきっかけになりました。
近年は若手生産者を中心にした小規模ワイナリーで、環境を意識したナチュラルワインの生産者が増えてきました。
既存の醸造学(機械化を進めてきた人たち)からは批判を浴びつつも、オーストラリアワインに新しい側面を与えています。
主要ブドウ品種
- オーストラリアといえばまずはシラーズ
- 全体的に黒ブドウの栽培面積のほうが大きい
オーストラリアでは黒ブドウの生産が主流です。
特にシラーズは国を代表する品種なので、必ず覚えましょう。
主要ブドウ品種 | 備考 |
Chardonnay シャルドネ |
白ブドウの栽培面積第1位 白・黒総合第3位 |
Sauvignon Blanc ソーヴィニヨンブラン |
|
Pinot Gris ピノグリ |
|
Shiraz シラーズ |
別名:Syrahシラー(フランス等) 栽培面積白・黒総合第1位 |
Cabernet Sauvignon カベルネソーヴィニヨン |
黒ブドウの栽培面積第2位 白・黒総合第2位 |
Merlot メルロー |
今回はシラー(シラーズ)を解説します。 フランスなどのヨーロッパではSyrah(シラー)と呼ばれていますが、オーストラリアや一部の国ではShiraz(シラーズ)と呼びます。 シラーといえば胡椒の香りが特徴として挙げられやすいです[…]
ワイン法
- Wine Australia Corporation(W.A.C.)が様々な規定を定めている
- 添加物に関する義務記載の品番は要チェック
- ラベル表示は85%ルール
オーストラリアでは添加物(保存料)の表示義務がある点に注目です。
ラベル表示は85%ルールなのでわかりやすいですね。
Geographical Indications(G.I.)制度
- 地理的名称
- 栽培区域のみを制定し品種や栽培方法までは特定されない
- アメリカのA.V.A.と同じ
ラベル表記
保存料・酸化防止剤のラベル記載
オーストラリアは保存料に関する規定が厳しく、保存料・酸化防止剤の品番をラベルに表記する義務があります。
また補糖は認められていません。
品番 | 内容物 |
220 | 亜硫酸(二酸化硫黄) |
200 | ソルビン酸 |
300 | アスコルビン酸(ビタミンC) |
ラベル表示は85%ルール
- G.I.の表示:ラベルに記載する当該G.I.で栽培されたブドウを85%以上使用
- ブドウ品種:ラベルに記載するブドウ品種を85%以上使用
- ヴィンテージ:ラベルに記載するヴィンテージのブドウを85%以上使用
Western Australia 西オーストラリア州
- 生産量は全土の2%程度だが高品質で有名
- 小規模なブティックワイナリーが多い
- マーガレットリヴァーが最重要
- カベルネソーヴィニヨンとシャルドネの銘醸地
西オーストラリア州は国内生産量わずか2%ですが、高品質なワインで有名です。
特にマーガレットリヴァーは超重要。
サブリージョンまでしっかり覚えましょう。
主要産地 | 備考 |
Swan District | 西オーストラリア州最北端 西オーストラリア州最古のワイン産地 |
Margaret River | 西オーストラリア州の最重要地域 6つのサブリージョンを持つ |
Great Southern | 西オーストラリア州最南端 瓶内二次発酵のスパークリングワインが有名 |
マーガレットリヴァー6つのサブリージョン
マーガレットリヴァーのサブリージョン | 備考 |
Yalingup | マーガレットリヴァーのサブリージョンで最北端 |
Carbunup | |
Wilyabrup | |
Treeton | |
Wallcliffe | |
Karridale | マーガレットリヴァーのサブリージョンで最南端 |
South Australia 南オーストラリア州
- オーストラリアワインの大半を生産する地域
- オーストラリアの州別ワイン生産量第1位
- 立地や検疫寄生によりフィロキセラの被害がなく自根のブドウが多数存在
- 大小さまざまなワイナリーが品質の高いワインを生産
- 各産地の地図も確認しておく(教本)
南オーストラリア州はオーストラリアワインの中心。
クナワラのテラロッサ土壌は試験に頻出です。
主要産地 | 備考 |
Barossa Valley | シラーズの首都と言える重要産地 世界で最も古いシラーズの樹が存在する |
Eden Valley | シラーズとリースリングの重要産地 マウントロフティ山脈の上の産地で「山のワイン」と言える |
Adelaide Hills | |
McLaren Vale | |
Coonawarra | 南オーストラリア州南東の端に位置する テラロッサ土壌から造られるカベルネソーヴィニヨンの銘醸地 1890年スコットランド人のJohn Riddochが最初のブドウを植えPenolaという土地を開拓した |
Langhorne Creek | Lake Doctorという冷涼な南風が吹く |
Kangaroo Island |
テラロッサ土壌
- オーストラリアで最も有名な土壌の一つ
- 赤い粘土質と石灰岩質のコンビネーション
- カベルネソーヴィニヨンと相性がいい
Victoria ヴィクトリア州
- オーストラリアの州別ワイン生産量第3位
- 生産地域の地図も確認
- ヤラヴァレーが重要産地でそれ以外の優先度は低い
ヴィクトリア州は世界で最初にフィロキセラが発見された地域です。
特にヤラヴァレーを覚えておくようにしましょう。
主要産地 | 備考 |
Yarra Valley | メルボルンから車で1時間程度に位置する ヴィクトリア州で最初にブドウを植樹した地域 ヴィクトリア州を代表する重要産地 |
Mornington Peninsula | タスマニア州と並びピノノワールの重要な産地として存在感が高まっている |
Geelong | 1877年世界で最初にフィロキセラが発見された地域 |
Bendigo | |
Rutherglen | 酒精強化ワインの産地として有名 |
Pyrenees | |
Henty | |
Grampians |
New South Wales ニューサウスウェールズ州
- オーストラリアワイン産業の起源
- オーストラリアの州別ワイン生産量第2位
国内生産量は第2位ですが、重要産地はわずかです。
主要産地 | 備考 |
Hunter | 代表品種はシラーズとセミヨン ハンターセミヨンの名前で辛口白ワインが有名 1825年に植えられた国内最古のヴェルデーリョが現存する |
Mudgee | 原住民アボリジニの言葉で「丘のある巣」という意味の産地 |
今回はセミヨンについて解説します。 辛口~極甘口まで幅広く活躍しているうえ、世界有数の高級ワインに使われる品種ですが、知名度はあまりない印象。 ソーヴィニヨンブランの補助品種になることが多く、「セミヨン単体ってどんな味?」なんて[…]
Tasmania タスマニア州
- 冷涼な地域
- ピノノワールとシャルドネの重要な産地になりつつある
- ジュラシックドレライト土壌(ジュラ紀の粗粒玄武岩)
- 主要産地はいずれもG.I.の取得にまでは至っていない
近年ピノノワールやシャルドネの評価が上がっている地域です。
ジュラシックドレライトという特殊な土壌を持つので要チェック!
主要産地 | 備考 |
Tamar Valley | タスマニア州ワインの5割を生産 |
Pipers River | |
Coal River Valley | |
Derwent Valley | |
North West | |
East Coast |
Queensland クイーンズランド州
- 日常消費用のブドウ栽培が主
デイリーワインの産地で重要度は低いです。
オーストラリアの酒精強化ワイン
- 1930年代~1960年代には生産量の70%を占める
- バロッサヴァレーとラザグレンで主に生産
- 現代では消費量は減少している
- ジェネリック名称を名乗っていた
オーストラリアの酒精強化ワインも見ておきましょう。
かつては「シェリー」「ポート」のようにヨーロッパ系のワイン名(ジェネリック名称)を付けて販売していました。
しかしEUとの合意によりジェネリック名称の使用が禁止になり、それぞれのワインは名称を変更することになります。
試験には「ジェネリック名称がシェリーだったワインを選べ」のような出題が考えられます。
それぞれの名称をよく覚えておきましょう。
酒精強化ワイン | 備考 |
Apera | ジェネリック名称:シェリー ドライ・ミディアムドライ・スイート・クリームのカテゴリー |
Fortified | ジェネリック名称:ポート トウニー・ヴィンテージの2種類 |
Topaque | ジェネリック名称:リキュールトカイ ミュスカデル種を用いる ラザグレンが主要産地 主にソレラシステムが用いられる |
オーストラリア練習問題
本記事で解説したオーストラリアの生産地やワインについて練習問題を作成しました。
スキマ時間に是非挑戦してみてください。
最後に
- ワインにスクリューキャップを世界で初めて導入
- 歴史の概要や総論からの主題頻度も高い
- 南オーストラリア州が生産量・重要度共に大きい
- 生産量TOP3は南オーストラリア州>ニューサウスウェールズ州>ヴィクトリア州
- 西オーストラリア州は生産量はごく少量でありながら高品質
- タスマニア州のピノノワールやシャルドネは注目されている
- 酒精強化ワインのジェネリック名称紐づけ
各産地がどの州に属するのか、といった基本的なことをしっかり覚えましょう。
添加物の表記やジェネリック名称などのキーワードも要注意です。
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