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ボルドー総論/ソムリエワインエキスパート試験対策&練習問題

  • 学習優先度は格付け関連のほうが高い
  • ジロンド河・ガロンヌ河・ドルドーニュ河の位置関係
  • 「右岸」と「左岸」の違い

ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズ。

今回はボルドー地方の総論と主要A.O.C.です。

ボルドー地方はA.O.C.ワインの生産量がフランス最大
甘口白ワインで有名なソーテルヌもありますが、多くは赤ワインの産地として知られています。

ボルドーワインと言えば、高い熟成能力を持つ高級ワインが最大の魅力ですね。

これはデイリーワインをたくさん作って地元消費を狙うのではなく、ブランド力のある高級ワインを造って輸出で利益をあげてきた歴史が関係しています。
ブルゴーニュワインのように少量・高品質ではなく、高い品質を保持しながら生産量も多いというのが高いブランド力を保持する要因でしょう。

試験対策では、総論やA.O.C.よりもシャトーの格付けを覚えるほうが優先です。
今回解説する内容は学習終盤の”仕上げ”向け

まだ格付けシャトーの暗記が終わっていない人は、先にそちらをマスターするようにしてください。
専用記事のリンクをつけておきます↓↓
・メドック格付け61シャトー暗記法&練習問題
・グラーヴ・ソーテルヌ・サンテミリオン格付け一覧&練習問題

ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズは、筆者が一次試験合格までに学習した内容を項目別にまとめたものです。
全ての記事にランダムで出題される練習問題がついているので試験学習にうってつけ。
独学・スクール通学を問わず、ソムリエ&ワインエキスパート試験合格を目指す人全員に役立てるようになっています
詳しくは下記リンクの記事をチェックしてくださいね。
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総論・歴史のポイント

  • 3つの大河の位置関係
  • アキテーヌ女公爵が後のイングランド王と結婚したことで一時英国領になる
  • 1855年パリ万博の格付け
  • 「月の港ボルドー」「サンテミリオン管轄区」として世界遺産に登録
  • メキシコ湾流という暖流の影響で温暖

ボルドー地方は昔から川を使った輸出向けワインが生産されてきました。

左右の上流域からガロンヌ川とドルドーニュ川が注ぎ、それがジロンド川という一つの大きな川となって大西洋へ抜けていきます。
この位置関係は確実に把握するようにしましょう。

ボルドー地方はジロンド県に属するので、ジロンド県にあるジロンド川が本流で、残り二つが支流と覚えましょう。

ボルドーはかつてイギリス領になっていた

歴史では、今のボルドー地方であるアキテーヌ地方の女公爵アリノエール・ダキテーヌと、後のイングランド王となるアンジュー伯ノルマンディ公の結婚をまず押さえましょう。

この結婚後、ノルマンディ公がイングランド王に即位したことで、ボルドー地方は一時英国領になります
それによってボルドー産のワインは川から海を渡って英国へと輸出され、ボルドーワインが繁栄していくきっかけになりました。

その後、フランスと英国の100年戦争を経てボルドー地方はフランス領に戻ってくることになります。

ブランド力を確立した格付け

1855年にはパリ万博に向けたイベントとして、かの有名な「メドックワインの格付け」が行われました。

メドックの格付けは当時の流通価格をもとに有名シャトーを1~5級に格付けしたものです。
そしてこれは今も1シャトーの例外を除いて変更されていません
150年以上前の格付けが今でも世界的なブランド力も保持しているのはすごいことですね。

その他のポイント

1999年にサンテミリオンの街並みが「サンテミリオン管轄区」として、2007年にはボルドーの市街区域が「月の港ボルドー」として世界遺産に登録されていることも覚えておきましょう。

ボルドー地方は日本の北海道と同じ北緯45度に位置していますが、メキシコ湾流という暖流の影響で穏やかな海洋性気候であることもポイントです。

右岸と左岸

  • 右岸エリア:ドルドーニュ川の右岸
  • 左岸エリア:ガロンヌ川&ジロンド川の左岸
  • ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれた中州部分では手頃なワインが多い

ボルドーワインの話をするときに、よく出てくる単語が「右岸」と「左岸」です。

ボルドー地方を流れる川の上流から下流を見て右か左かを表しています。
具体的にはドルドーニュ川右岸を「右岸」ガロンヌ川・ジロンド川左岸を「左岸」と呼びます。

【右岸】
サンテミリオン地区
ポムロール地区

【左岸】
メドック地区
グラーヴ地区
ソーテルヌ地区

などがあります。

「右岸にある地区を選べ」のような出題もありますので、教本の地図を見ながら確実に覚えましょう。
一般的に右岸エリアはメルロー主体の赤、ソーテルヌを除く左岸エリアはカベルネソーヴィニヨン主体の赤と言われます。

厳密には、左岸でもメルローの比率が高くなることも多いです
あくまで大雑把に分けるとそんなイメージくらいにしておきましょう。

ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれたEntre-Deux-Mersアントルドゥーメールというエリアもあります。
こちらでは土壌などの関係で高級ワインは生まれにくく、代わりに手頃なワインがたくさん生産されています。

メドック地区

  • ジロンド川の左岸
  • A.O.C.は全て赤のみ認められる
  • ブドウ品種はボルドーブレンドで造られる

メドック地区は世界の赤ワインの中心地ともいえる地域です。
ジロンド川左岸に位置していますのでかならず覚えましょう。

カベルネソーヴィニヨンやメルローを中心とした、「ボルドーブレンド」で造る赤ワインが有名です。
格付けシャトーが生み出す高級ブランドワインはボルドーの代名詞ですね。

そのイメージを反映してか、メドック地区内のA.O.C.は全て赤のみが認められています

砂礫質土壌によるカベルネソーヴィニヨンが特徴ですが、実際は粘土質の土壌もあってメルローも多く栽培されています

メドック主要A.O.C. タイプ 備考
Medoc
メドック
メドック地区全域
Haut-Medoc
オーメドック
メドックのうち上流域の28か村にのみ認められる
Haut=高い=上流
A.O.C.メドックと規定に差はなく上位A.O.C.という扱いではない
Saint-Estephe
サンテステフ
村名A.O.C.で最北に位置する
Pauillac
ポイヤック
メドックの中でも特に砂礫質土壌が顕著でカベルネソーヴィニヨンが多い
Saint-Julien
サンジュリアン
Listrac-Medoc
リストラックメドック
Margaux
マルゴー
メドック最大の村名A.O.C.
マルゴー村を含む5か村で構成

グラーヴ地区

  • グラーヴ=砂利という意味で砂利土壌が広がる
  • ソーテルヌも含む広大な地域

グラーヴ地区は、ボルドー市の南、ガロンヌ川左岸に広がる産地です。

ガロンヌ川から運ばれた砂利の土壌が特徴で、砂利=Gravesグラーヴということから「グラーヴ地区」という名前が付きました。

メドック格付けで、唯一グラーヴ地区から選ばれたシャトーオーブリオンは、当時から高品質で有名だったようです。

1953年にはグラーヴ地区でも格付けが発表されました。
当然、シャトーオーブリオンはこちらにも認定されています。

グラーヴ主要A.O.C. タイプ 備考
Graves
グラーヴ

辛白
Graves Superiures
グラーヴシューペリュール
甘白 グラーヴ唯一の甘口白のA.O.C.
Pessac-Leognan
ペサックレオニャン

辛白
ペサック村とレオニャンのみ認められる
規定が厳しい上位A.O.C.
グラーヴの格付けシャトーは全てこのA.O.C.に属する

サンテミリオン地区

  • ドルドーニュ川の右岸に位置する
  • A.O.C.は全て赤のみ認められる
  • 概ね粘土石灰土壌で栽培されるメルロが主体
  • 約10年ごとに見直される格付けがある

サンテミリオンはドルドーニュ川右岸に広がる地域です。

もっとも大きいA.O.C.Saint-Emilionサンテミリオンの他に、「○○Saint-Emilion」という小地区が4つあり、これらはサンテミリオン衛星地区と呼ばれます。

A.O.C.は全て赤ワインのみが認められていて、メルロー主体で造られることがほとんどです。

高品質なワインが多いですが、学習の優先度は低いです。

特に衛星地区のA.O.C.や立地などは捨て問にすることも検討したいほど。
興味がある人は教本の地図などで位置関係も把握しておきましょう

メドック地区の格付けが基本的に見直しがされないのに対し、サンテミリオンの格付けは約10年ごとに改訂されることも特徴です。

格付けはワインの価格に大きく影響を与えます。
そのためサンテミリオンでは格付けのたびに一悶着。
公平性をめぐって裁判沙汰になったこともあります。
2022年の見直しの際には、格付け上位4シャトーのうち3シャトーが格付けを辞退したことが話題になりました。
サンテミリオン主要A.O.C. タイプ 備考
Saint-Emilion
サンテミリオン
Saint-Emilion Grand Cru
サンテミリオングランクリュ
格付けとは無関係
A.O.C.サンテミリオンより規定が厳しくなったもの

ポムロール地区

  • サンテミリオン地区の北西に位置する小さなワイン産地
  • 純粋な粘土質土壌は小高い丘の頂点に立つペトリュスの畑のみ

ポムロール地区は、南部のA.O.C.Pomerolポムロールと北部のA.O.C.Lalande-de-Pomerolラランドドポムロールに分かれます。

ボルドーで最も高級なワインと言われる「ル・パン」や「ペトリュス」はこのポムロールのワイン

いずれも赤ワインのみが認められており、メルローの比率が圧倒的。
メルロー単一のワインも珍しくありません。

ポムロール主要A.O.C. タイプ 備考
Pomerol
ポムロール
ポムロール地区南部のA.O.C.
Lalande-de-Pomerol
ラランドドポムロール
ポムロール地区北部のA.O.C.

アントルドゥーメール地区

  • 二つの河の間という意味
  • ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれた広大な地域
  • A.O.C.としては白ワインのみ認められる
  • 赤ワインも多く生産されているがA.O.C.ボルドーとして扱われる

ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれた中州のエリアがアントルドゥーメール地区です。

日常消費用の手ごろなワインが多く作られています。

A.O.C.は全て白ワインのみが認められていて、赤ワインはA.O.C.ボルドーとして扱われることも覚えておきましょう。

広いエリアのためA.O.C.も多いですが、試験対策の優先度は低いです。
主要なものだけ把握するようにしましょう。

アントルドゥーメール主要A.O.C. タイプ 備考
Entre-Deux-Mers
アントルドゥーメール
辛白
Sainte-Croix-du-Mont
サントクロワデュモン
甘白 ガロンヌ川右岸で造られる甘口白
ソーテルヌ・バルサックの対岸に位置する
樹上で乾燥した遅摘みブドウか貴腐ブドウを使う

ソーテルヌ&バルサック地区

  • グラーヴ地区の南部、ガロンヌ川左岸に位置する
  • 貴腐ワインで有名な産地
  • 秋になるとシロン川から霧が発生する
  • ボトリティスシネレア菌によって貴腐化する
  • 1855年メドックと同タイミングでソーテルヌも格付けされている

グラーヴ地区の南部、ガロンヌ川左岸に位置するのエリアです。

ソーテルヌ&バルサック地区の特徴は何といっても貴腐ワイン
世界三大貴腐ワインとも呼ばれる銘醸地です。

シロン川で発生する霧によってボトリティスシネレア菌が発生し、貴腐ブドウが生まれます。

1855年、メドック地区の格付けと同じタイミングでソーテルヌ&バルサック地区も格付けされました

中でもシャトーディケムは、その圧倒的な品質により特別1級という階級が唯一与えられています

A.O.C.はソーテルヌとバルサックの二つがありますが、A.O.C.バルサックはA.O.C.ソーテルヌを名乗ること可能。
そのためA.O.C.を覚えるよりも、貴腐ワインの残糖量や、「シロン川」などのキーワード部分が優先度高めになります。

ソーテルヌ&バルサック主要A.O.C. タイプ 備考
Sauternes
ソーテルヌ
甘白 必ず貴腐ブドウを使用
極めて長期熟成が可能な世界最高峰の貴腐ワイン
残糖量45g/L以上
Barsac
バルサック
甘白 必ず貴腐ブドウを使用
極めて長期熟成が可能な世界最高峰の貴腐ワイン
残糖量45g/L以上
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その他の主要A.O.C.

  • コート地区とフロンサデ地区は要所のみ押さえる
  • フロンサデはメルロ主体、コートは多様なワインが造られる

フロンサデ地区はドルドーニュ川右岸に位置します。
他の右岸の産地と同じく赤のみが認められていて、メルロー主体なのも共通。

ガロンヌ川・ドルドーニュ川・ジロンド川の川沿いに点在するコート地区では甘口白~辛口白、そして赤まで、多様なワインが造られます。

学習優先度はいずれも低く、主要なものだけ覚えておくくらいがちょうど良さそうです。

その他のA.O.C. タイプ 備考
Fronsac
フロンサック
ドルドーニュ川右岸のフロンサデ地区に属する
メルロー主体
Canon Fronsac
カノンフロンサック
ドルドーニュ川右岸のフロンサデ地区に属する
メルロー主体
Blaye
ブライ
コート地区に属する赤のみのA.O.C.
Cotes de Blaye
コートドブライ
辛白 コート地区に属する辛口白のみのA.O.C.

ボルドー主要A.O.C.練習問題

テスト
本記事で解説したボルドー総論&主要A.O.C.について、ランダムで出題される練習問題を作成しました。
スキマ時間などに是非挑戦してみてください。

最後に

  • ジロンド河・ガロンヌ河・ドルドーニュ河という大きな河
  • ドルドーニュ川右岸はメルロー主体の赤
  • ジロンド川左岸はカベルネソーヴィニヨン主体の赤
  • ガロンヌ川左岸のソーテルヌ地区は貴腐ワインの銘醸地
  • 中州エリアは日常向けでA.O.C.は白のみ認められる

ボルドーは全体的に学習量が多く、マスターするためにはたくさんの時間が必要になります。

どこまで覚えるかは各々の学習時間と相談するようにしましょう。

総論よりも格付け関係のほうを優先したいので、格付けの暗記に自信がない人はまずそちらをマスターするようにしましょう。

メドック格付け暗記法はこちら↓

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