- A.O.C.名とタイプを紐づける
- 付記される地理的名称については優先度は低い
- V.D.N.と発泡の特殊なラベル表記については把握する
- I.G.P.については後回し
ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズ。
今回はフランスのラングドック&ルーション地方です。
V.D.N.を主軸に甘口ワインも多く生産される産地です。
フランスを代表するI.G.P.(地酒)の一大産地ですが、試験勉強ではA.O.C.がメインになります。
今回はそんなラングドック&ルーション地方のポイントをまとめて、最後に練習問題を載せました。
練習問題を活用しながらA.O.C.ごとに生産タイプを覚えていきましょう。
全ての記事にランダムで出題される練習問題がついているので試験学習にうってつけ。
独学・スクール通学を問わず、ソムリエ&ワインエキスパート試験合格を目指す人全員に役立てるようになっています。
詳しくは下記リンクの記事をチェックしてくださいね。
ソムリエ・ワインエキスパート試験はワインの難関試験です。 勉強も大変そうだし、何から手をつけたらいいのかもわからないですよね。 筆者は年末頃から少しずつ勉強をスタートして、年明けからはオンラインスクールも利用しながら一発で合格す[…]
ラングドック&ルーション地方の概要
- I.G.P.(地酒)の一大産地
- 世界遺産ポンデュガール、カルカッソンヌを有する
- 地中海性気候(西部は海洋性気候)
- トラモンタンという乾いた冷たい風の影響を受ける
- ルーション地方はV.D.N.の生産が盛ん
ラングドック&ルーション地方は、フランスを代表するI.G.P.ワインの産地です。
暖かい地中海性気候により、成熟度の高いブドウから造られたワインがお手頃価格で手に入ります。
ルーション地方ではV.D.N.の生産も盛んで、特に「バニュルス」は要チェック。
冷風「トラモンタン」、世界遺産についても出題されやすいので覚えておきましょう。
ラングドック&ルーション地方主要ブドウ品種
ローヌ渓谷地方同様、温暖な南フランスのため多様な品種が栽培されています。
ローヌ渓谷地方の解説は下記リンク記事をチェックしてくださいね↓↓
・ローヌ渓谷地方の主要A.O.C.一覧&練習問題
主要ブドウ品種 |
Grenache Blanc グルナッシュブラン |
Bourboulenc ブールブーラン |
Piquepoul ピクプール |
Clairette クレレット |
Vermentino ヴェルメンティーノ |
Roussanne ルーサンヌ |
Marsanne マルサンヌ |
Chardonnay シャルドネ |
Maccabeu マカブー |
Muscat ミュスカ |
Grenache グルナッシュ |
Mourvedre ムールヴェードル |
Syrah シラー |
Carignan カリニャン |
Cinsault サンソー |
Morrastel モラステル |
Liedoner Pelut ルドネール ペリュ |
ラングドック&ルーション地方の主要A.O.C.
- ガール県
- エロー県
- オード県
- ピレネーオリエンタル県(ここのみルーション地方)
- ロゼール県(ブドウ畑はほとんどない)
ラングドック&ルーション地方は5つの県で構成されます。
ピレネーオリエンタル県のみがルーション地方に属し、それ以外はラングドック地方です。
また、ロゼール県にはブドウ畑はほとんどありません。
「バニュルス」
「モーリー」
です。
- 上級A.O.C.になると赤(またはV.D.N.赤)のみに限定される
- 白のみが認められるのはピックプール ド ピネのみ
- V.D.L.が認められるのはクレレット デュ ラングドックとミュスカ ド フロンティニャンのみ
- 赤・白のみが認められるのはラ クラープのみ
- ランシオが認められるのはクレレット デュ ラングドックのみ
- 所属する県よりも、ラングドックとルーションどちらに属するかが重要
ラングドック全域のA.O.C.
ラングドック全域の広域A.O.C.はラングドックのみです。
11の地理的名称が認められていますが、優先度は低め。
高得点合格を狙う人以外は飛ばしましょう。
A.O.C. | タイプ | 備考 |
Languedoc ラングドック |
赤 ロゼ 白 |
ラングドック地方のほぼ全域を含むA.O.C. ロゼと赤は新酒の場合ラベルに 11の地理的名称があり、Languedocのあとに付記できる |
- Cabrieres(赤・ロゼ)
- Gres de Montpellier
- La Mejanelle
- Montpeyroux
- Pezenas
- Quatourze
- Saint-Christol
- Saint-Drezery
- Saint-Georges-d’Orques
- Saint-Saturnin
- Sommieres
エロー県のA.O.C.
- V.D.L.が認められるのはフロンティニャンとクレレット デュ ラングドックのみ
- クレレット デュ ラングドックはランシオも認められている
- サンシニアンは地理的名称がつくと赤のみになる
V.D.N.:発行中にアルコールを添加して造る
V.D.L.:発酵前にアルコールを添加して造る
A.O.C. | タイプ | 備考 |
Pic Saint Loup ピック サン ループ |
赤 ロゼ |
2017年にラングドックA.O.C.地理的名称から独立 |
Terrasses du Larzac テラス デュ ラルザック |
赤 | 2014年にラングドックA.O.C.地理的名称から独立 主要品種:グルナッシュ・ムールヴェードル・シラー・カリニャン |
Clairette du Languedoc クレレット デュ ラングドック |
白(甘)(辛) V.D.L. ランシオ |
クレレット100% ブドウが収穫された村名をA.O.C.のあとに付記出来る |
Picpoul de Pinet ピックプール ド ピネ |
白 | ピックプール100% |
Faugeres フォジェール |
赤 ロゼ 白 |
1982年にサンシニアンとともにエロー県で最初に認定されたA.O.C. シスト土壌 |
Saint-Chinian サンシニアン |
赤 ロゼ 白 |
1982年にフォジェールとともにエロー県で最初に認定されたA.O.C. 北部:シスト土壌 南部:石灰質土壌 赤のみ二つの地理的名称あり |
Saint-Chinian Berlou サンシニアン ベルルー |
赤 | サンシニアンの地理的名称付A.O.C. 主要品種:グルナッシュ・ムールヴェードル・シラー |
Saint-Chinian Roquebrun サンシニアン ロックブラン |
赤 | サンシニアンの地理的名称付A.O.C. 主要品種:グルナッシュ・シラー |
Muscat de Lunel ミュスカ ド リュネル |
V.D.N.(白) | ミュスカ ブラン ア プティ グラン100% |
Muscat de Mireval ミュスカ ド ミルヴァル |
V.D.N.(白) | ミュスカ ブラン ア プティ グラン100% |
Muscat de Frontignan ミュスカ ド フロンティニャン |
V.D.N.(白) V.D.L.(白) |
ミュスカ ブラン ア プティ グラン100% FrontignanまたはVin de Frontignanの表記も可能 |
Muscat de Saint-Jean-de-Minervois ミュスカ ド サンジャン ド ミネルヴォワ |
V.D.N.(白) | ラングドックのV.D.N.産地で唯一山側に位置する |
エロー県とオード県にまたがるA.O.C.
- ミネルヴォアの上級A.O.C.であるラ リヴィニエールは赤のみ認められる
A.O.C. | タイプ | 備考 |
Minervois ミネルヴォワ |
赤 ロゼ 白 |
1985年に認定 小石・砂岩・シスト・石灰岩など多様な土壌 |
Minervois La Liviniere ミネルヴォワ ラ リヴィニエール |
赤 | 1999年にミネルヴォワから独立した上級A.O.C. 最大収穫量はミネルヴォア48hl/haに対して42hl/haと厳しくなる |
オード県
- コルビエールの上位A.O.C.であるブートナックは赤のみ認められる
- フィトゥーはA.O.C.認定が早く歴史あるA.O.C.で、フィトゥーの南はルーションになる
A.O.C. | タイプ | 備考 |
La Clape ラ クラープ |
赤 白 |
2015年にラングドックA.O.C.から独立 |
Corbieres コルビエール |
赤 ロゼ 白 |
1985年に認定 ナルヴォンヌからカルカッソンヌまで面積10000ha越えの広大なA.O.C. |
Corbieres Boutnac コルビエール ブートナック |
赤 | 2005年にコルビエールから独立した上位A.O.C. 主要品種:グルナッシュ・ムールヴェードル |
Fitou フィトゥー |
赤 | 1948年にA.O.C.認定 ラングドック最南端のA.O.C. 主要品種:カリニャン・グルナッシュ |
Cabardes カバルデス |
赤 ロゼ |
1999年にA.O.C.に認定 主要品種:カベルネフラン・カベルネソーヴィニヨン・グルナッシュ・メルロー・シラー ボルドー系品種を使う産地 |
Malepere マルペール |
赤 ロゼ |
赤 主要品種:メルロ ロゼ 主要品種:カベルネフラン ボルドー系品種を使う産地 |
Limoux リムー |
赤 白 発泡(白) |
赤 主要品種:メルロー 赤 補助品種;コット・グルナッシュ・シラー 白:シャルドネ・モーザック・シュナンブランのみ 1993年からオーク小樽での熟成が義務 発泡:2つのラベル表記があり |
Limoux Methode ancestrale リムー メトード アンセストラル リムー |
発泡(白) | リムーの発泡のみに認められた補助記載 モーザック100% アンセストラル方式で造る |
Limoux Blanquette de Limoux リムー ブランケット ド リムー |
発泡(白) | リムーの発泡のみに認められた補助記載 モーザック主体(90%以上) 瓶内二次発酵方式で造り瓶内熟成期間は9か月以上 |
Cremant de Limoux クレマン ド リムー |
発泡 (白) (ロゼ) |
主要品種:シャルドネ 瓶内二次発酵 瓶内熟成期間9か月以上 |
ピレネー オリエンタル県
- ピレネーオリエンタル県のみルーションに属する
- V.D.N.が多く、モーリーとバニュルスの二大酒精強化ワイン産地は最重要
- コートドルーションの上位A.O.C.であるヴィラージュは赤のみ認められる
- バニュルスの上位A.O.C.であるグランクリュはV.D.N.(赤)のみ認められる
A.O.C. | タイプ | 備考 |
Cotes du Roussillon コート ド ルーション |
赤 ロゼ 白 |
新酒の場合ラベルに |
Cotes du Roussillon Villages コート ド ルーション ヴィラージュ |
赤 | コートドルーションの上位A.O.C. 5つの地理的名称あり |
Maury モーリー |
赤 V.D.N. (赤) (ガーネット) (レンガ色) (琥珀色) (白) |
1936年のA.O.C.制定と同時に認可 赤 主要品種:グルナッシュ 黒ブドウから造ったV.D.N.: 白ブドウから造ったV.D.N.: 5年以上熟成させたアンブレ・テュイレは ランシオ香の生じたアンブレ・テュイレには |
Banyuls バニュルス |
V.D.N. (赤) (ロゼ) (白) |
1936年のA.O.C.制定と同時に認可 赤の場合はグルナッシュ50%以上使用 細かい熟成規定は別表参照 |
Banyulus Grand Cru バニュルス グラン クリュ |
V.D.N. (赤) |
バニュルスの上位A.O.C. グルナッシュ75%以上使用・オーク樽で30か月以上の熟成 5年以上熟成で |
Collioure コリウール |
赤 ロゼ 白 |
1971年に認可 バニュルスと同じ地域で造られたスティルワインのA.O.C. 赤:グルナッシュ主体 |
Rivesaltes リヴザルト |
V.D.N. (琥珀色) (ガーネット) (ロゼ) (レンガ色) |
5年以上熟成させたアンブレ・テュイレは ランシオ香の生じたアンブレ・テュイレには |
Muscat de Rivesaltes ミュスカ ド リヴザルト |
V.D.N (白) |
リヴザルトと同じ地域のV.D.N.(白)のみのA.O.C. ミュスカ ブラン ア プティ グランとミュスカ ダレクサンドリーを使用 Muscat de Noelとして新酒も生産 |
Grand Roussillon グラン ルーション |
V.D.N. (赤) (ロゼ) (白) |
リヴザルトと同一エリアで造られるV.D.N.のA.O.C. 熟成期間3年(収穫から3年目の9月1日まで) ランシオ香の生じたワインにはRancio表記が可能 |
- Caramany
- Latour-de-France
- Lesquerde
- Tautavel
- Les Aspres
規定 | 備考 |
Ambre アンブレ |
果皮と果汁を発酵前に引き離し、3年の酸化熟成 |
Blanc ブラン |
果皮と果汁を発酵前に引き離し、収穫翌年の5月1日まで還元的に熟成 |
Rimage リマージュ |
果皮とマスト(もろみ)を切り離す前に酒精強化し、収穫翌年の5月1日まで還元的に熟成 |
Traditionnel トラディショネル |
果皮とマストを引き離さず発酵し、最低3年の酸化熟成 |
Rose ロゼ |
果皮と果汁を発酵前に引き離す |
5年以上熟成させたアンブレやトラディショネルには
ラングドック&ルーション地方主要I.G.P.
ここまでA.O.C.について解説してきましたが、ラングドック&ルーション地方はなんといってもI.G.P.の一大産地です。
勉強の優先度は低いですが、学習スケジュールに余裕が出たらチェックしてみてください。
まずは飛ばして、次項の練習問題まで移動しましょう。
I.G.P. | タイプ | 備考 |
Terre du Midi テール デュ ミディ |
赤 ロゼ 白 |
ペイドックと生産地域が重なっているが規定はこちらの方が緩い |
Pay d’Oc ペイ ドック |
赤 ロゼ 白 発泡(赤ロゼ白) |
テールデュミディより厳しい規定 I.G.Pで最大の生産量 |
Gard ガール |
赤 ロゼ 白 |
ガール県の県名I.G.P. |
Cevennes セヴェンヌ |
赤 ロゼ 白 発泡(赤ロゼ白) |
|
Coteaux du Pont du Gard コトー デュ ポン デュ ガール |
赤 ロゼ 白 発泡(赤ロゼ白) |
|
Sable de Camargue サーブル ド カマルグ |
赤 ロゼ 白 グリ 発泡(赤ロゼ白) |
|
Pays d’Herault ペイ デロー |
赤 ロゼ 白 |
エロー県の県名I.G.P. 16の地理的名称あり |
Coteaux d’Enserune コトー ダンセリュヌ |
赤 ロゼ 白 |
|
Coteaux de Beziers コトー ド ベジエ |
赤 ロゼ 白 |
|
Cotes de Thau コート ド トー |
赤 ロゼ 白 グリ 発泡(赤ロゼ白) |
条件を満たすと |
Cotes de Thongue コート デュ トング |
赤 ロゼ 白 グリ 発泡(赤ロゼ白) |
|
Haute Vallee de l’Orb オート ヴァレ ド ロルブ |
赤 ロゼ 白 グリ 発泡(赤ロゼ白) |
|
Saint-Guilhem-le Desart サン ギレーム ル デゼール |
赤 ロゼ 白 |
|
Vicomte d’Aumelas ヴィコンテ ドームラ |
赤 ロゼ 白 |
|
Aude オード |
赤 ロゼ 白 |
オード県の県名I.G.P. 9の地理的名称あり |
Le Pays Cathare ル ペイ カタール |
赤 ロゼ 白 |
|
Cite de Carcassonne シテ ド カルカッソンヌ |
赤 ロゼ 白 |
|
Coteaux de Narbonne コトー ド ナルボンヌ |
赤 ロゼ 白 |
|
Haute Vallee de l’Aude オートヴァレドロード |
赤 ロゼ 白 |
|
Coteaux de Peyriac コトー ド ペイリアック |
赤 ロゼ 白 |
条件を満たすと |
Vallee du Paradis ヴァレ デュ パラエィ |
赤 ロゼ 白 グリ |
|
Vallee du Torgan ヴァレ デュ トルガン |
赤 ロゼ 白 グリ |
|
Cotes Catalanes コート カタラーヌ |
赤 ロゼ 白 |
ピレネーオリエンタル県の県名I.G.P. ランシオ香が生じたワインには |
Cote Vermeille コート ヴェルメイユ |
赤 ロゼ 白 |
A.O.C.バニュルスと同一の地域にあるI.G.P. ランシオ香が生じたワインには |
ラングドック&ルーション練習問題
本記事で解説したラングドック&ルーション地方について練習問題を作成しました。
何度も挑戦して暗記に役立ててください。
最後に
ラングドック&ルーション地方は勉強の優先順位は低いですが、「バニュルス」のような有名A.O.C.もあるため注意が必要です。
「赤のみ造れる」のような条件があるA.O.C.を優先的に頭に入れておくと安心ですね。
A.O.C.名とタイプの他に、一覧の中で太字になっている情報も余裕があればチェックしておきましょう。
ソムリエワインエキスパート試験の勉強法はこちら↓
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