- 醸造法と内容を紐づける
- 濃縮に関する規定
- 練習問題を何度も解いて覚える
ソムリエ&ワインエキスパート一次試験対策シリーズ。
今回はワインの醸造方法についてです。
「ロゼワインの製法3種」
「スパークリングワインの瓶内二次発酵とタンク発酵の違い」
このあたりを解説していきます。
造り方の違いで出来上がるワインの特徴は異なります。
それぞれの製法・特徴をしっかり把握することで、産地や各国の学習もスムーズに進めることができます。
是非マスターしておきましょう。
本記事では醸造方法を表にまとめ、最後に練習問題を載せています。
学習内容は単純な丸暗記で、製法名と特徴を紐づけていくだけ。
人によっては苦手意識があるかもしれませんね。
しかしこういった単純暗記のコツは何度も練習問題を解くことです。
マスターできるまで何度も挑戦してください。
赤ワインと白ワインの醸造法を知っていると記事の理解度が上がるので、そちらの学習がまだの人は下記リンクの記事もチェックしてくださいね。
・ワイン概論要点一覧&練習問題へ
全ての記事にランダムで出題される練習問題がついているので試験学習にうってつけ。
独学・スクール通学を問わず、ソムリエ&ワインエキスパート試験合格を目指す人全員に役立てるようになっています。
詳しくは下記リンクの記事をチェックしてくださいね。
ソムリエ・ワインエキスパート試験はワインの難関試験です。 勉強も大変そうだし、何から手をつけたらいいのかもわからないですよね。 筆者は年末頃から少しずつ勉強をスタートして、年明けからはオンラインスクールも利用しながら一発で合格す[…]
ロゼワインの醸造法
- 特にセニエ法は試験で頻出
- 混醸法は禁止されている国も多く重要度低め
ロゼワインの醸造法で特に重要なのはセニエ法です。
セニエ法では、まず赤ワインと同じ手順で醸します。
その途中で果汁のみを抜き取とることで、ロゼワインのような色の薄い果汁が抽出されます。
セニエ法で果汁を抜き取った残りで造った赤ワインは、色が濃くなったり渋みが強くなったりという特徴があります。
そのため赤ワインを造る際にセニエを行い、副産物的にロゼワインが生まれることもあります。
直接圧搾法は黒ブドウを圧搾してから発酵させる方法です。
「黒ブドウを使って白ワインの製法をする」というとイメージしやすいかもしれません。
混醸法は白ブドウと黒ブドウを混ぜてロゼ色にする方法ですが、製法として認めていない国も多いです。
ロゼワインの製法 | 備考 |
Saignee セニエ |
黒ブドウを醸している途中に液体部分を抜き取る セニエは「血抜き」という意味 中世ヨーロッパでは医師が治療のために血抜きを行っていた |
Pressurage direct 直接圧搾法 |
黒ブドウを圧搾してから発酵させる方法 |
混醸法 | 白ブドウと黒ブドウを混ぜて造る ドイツのロートリングなど |
スパークリングワインの製法
- どのように炭酸を得るかで決まる
- トラディショナルとシャルマが二大製法
- トラディショナル方式とアンセストラル方式の違いに注意
スパークリングワインは「トラディショナル方式(瓶内二次発酵)」と、「シャルマ方式(タンク発酵)」が二大製法です。
高級品のトラディショナル、日常向けのシャルマ方式と覚えておいてもOK。
アンセストラル方式は、一次発酵の途中で瓶に詰めて、そこから二酸化炭素を得る方法です。
一次発酵が完全に終了してから瓶詰するトラディショナル方式との違いはしっかり把握しておきましょう。
スパークリングワインの製法 | 備考 |
トラディショナル方式 英:Traditional Method 仏:Methode traditionalle |
シャンパーニュ方式(Methode champenoise)ともいう スティルワイン・糖分・酵母を瓶内に詰めて、瓶内で二次発酵させて炭酸ガスを得る方式 |
シャルマ方式 英:Tank Method 仏:Methode charmat |
スティルワインを大きなタンクに入れて、糖分と酵母を加えたうえでタンク内で二次発酵させる方式 大量生産できるのでコストが抑えられる |
トランスファー方式 英:Transfer Method 仏:Methode de transfert |
瓶内二次発酵させた発泡ワインをタンクに移してからボトル詰めする方式 動瓶や澱抜きを簡略化する効果がある |
アンセストラル方式 英:Ancestral Method 仏:Methode rurale |
発酵途中のワインを瓶に詰め、残りの発酵を瓶内で行う 瓶内二次発酵などと比べると発泡性は弱くなる 田舎方式とも呼ばれる |
炭酸ガス注入法 英:Carbonation 仏:Gazeifie |
ワインに炭酸ガスを吹き込む方式 |
その他の醸造法
- 人口アイスワインの氷果凍結圧搾
- アルコール度数を上げる効果のある各種濃縮
- 甲州にも用いられるシュールリー
その他の醸造法では氷果凍結圧搾とシュールリーは特に注意しておきましょう。
氷果凍結圧搾はブドウを冷蔵庫で凍らせて、人工的にアイスワインを造りだす製法。
アイスワインをウリにしている国では禁止されていることが多いです。
認められている場合でも、氷果凍結圧搾で造ったことを記載する必要があるのがほとんどです。
シュールリーは「澱の上」という意味で、澱を除去するタイミングで除去せず、そのまま発酵させる方式。
うまみ成分を抽出する効果があります。
日本の甲州やロワールのミュスカデでよく行われ、ラベルにもSur lieと記載することができます。
濃縮は、果汁から水分を除去して、酸や糖分比率を上げることを言います。
主に原料ブドウの成熟が足りないときに行うことがあります。
大きく2種類の濃縮法がありますが、いずれの場合にも濃縮できる比率には上限が設けられています。
その他の醸造法 | 備考 |
Maceration a chaud マセラシオンアショー |
果醪に熱を加える赤ワインの醸造法 |
Cryo-extraction 氷果凍結圧搾 |
収穫したブドウを-7℃の冷蔵庫で凍結させて、人工的にアイスワインを造る製法 |
Osmose incerse オスモスインヴァース |
逆浸透膜による濃縮 水は通すが糖や酸などのより大きな分子は通さない膜を使ってブドウ果汁から水分を減らし糖度や酸を高める |
英:Vacuum distillation 仏:Concentration sous vide a basse temperature 常温減圧濃縮 |
減圧し常温で水分が沸騰する状態にして果醪から水分を抜き取って糖度や酸を高める 温度が高温にならないため果実の品質劣化は少ない |
Micro-oxygenation | ミクロの酸化という意味 発酵中or貯蔵中の赤ワインに酸素の細かい泡を吹き込む 色素の安定化・ワインが還元的になるのを防ぐ・発酵遅延を防ぐ・香りに熟成感をもたせる・口当たりを軟らかくするなどさまざまな効果がある |
英:Carbonic maceration 仏:Maceration carbonique |
密閉したステンレスタンクに黒ブドウを破砕せずそのまま詰めて二酸化炭素をタンク内に充満させる製法 ボジョレーヌーヴォーにも用いられる ワインにバナナの香りが出ることが特徴 |
Sur lie シュールリー |
滓の上という意味 ロワールのミュスカデや日本の甲州などに用いられる 発酵後、澱引きせずそのまま発酵槽の中に澱を放置して熟成し、澱からアミノ酸などのうまみ成分を抽出する |
英:Skin contact 仏:Maceration pelliculaire |
白ブドウを原料にして一定時間赤ワインのように果皮を果汁に漬け込んで果皮の香り成分や色素を果汁に移行させる オレンジワインの製法 |
濃縮に関する規定
- 1%のアルコールを得るためには10%の水を抜く必要がある
- 除去する水分は元の果醪容量の20%を超えてはならない
- 濃縮によって得られるアルコール分は2%を超えてはならない
逆浸透膜による濃縮や、常温減圧濃縮を用いることで原料ブドウの酸や糖度を高くすることができます。
しかし濃縮で得られる酸や糖度には上限があります。
それぞれのルールはしっかり覚えておきましょう。
各種醸造法の練習問題
本記事で解説した各種醸造法について、ランダムで出題される練習問題を作成しました。
スキマ時間などに是非挑戦してみてください。
最後に
- 血抜きを意味するロゼワイン製法のセニエ
- スパークリングワインは炭酸ガスをどのように得るか
- 人口アイスワインの氷果凍結圧搾
- アルコール度数を上げる効果のある各種濃縮
- 甲州にも用いられるシュールリー
醸造用語は単純な暗記項目のため、練習問題を何度も解くことが暗記の最短ルートです。
各国のワインを学習する中でもよく出てくる単語ばかりなので、是非マスターしてください。
ソムリエワインエキスパート試験の勉強法はこちら↓
ソムリエ・ワインエキスパート試験はワインの難関試験です。 勉強も大変そうだし、何から手をつけたらいいのかもわからないですよね。 筆者は年末頃から少しずつ勉強をスタートして、年明けからはオンラインスクールも利用しながら一発で合格す[…]
試験に向けてワインスクールを探している人はこちら↓
今回はソムリエワインエキスパート試験対策講座をオンラインで受講できるオススメなワインスクールTOP3をランキング形式で紹介します。 「仕事や家事が忙しくて定期的にスクールに通えない」 「通学圏内にワインスクールがない」 こんな人には自[…]